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東京ゲームショウ2002開催 パソコンネットゲーム花盛り マルチプラットフォームで市場活性化?

2002/09/30 16:51

週刊BCN 2002年09月30日vol.959掲載

 プレイステーション2、Xboxといった通信可能なゲーム専用機の登場で、「ネットワークゲームもやはりパソコンではなく、ゲーム専用機が主流になるのでは」と懸念を抱く関係者も多かった。だが、9月20日から22日までの3日間、東京都内で開催された「東京ゲームショウ2002」の会場には、パソコン用ネットワークゲームが多数出展された。これはパソコン業界にとって大きなプラスと見てよいのだろうか。(三浦優子●取材/文)

注目は「ネットワークゲーム」

 東京ゲームショウ2002では、「ネットワークゲーム」が重要なキーワードの1つになっていた。これは、ゲーム専用機市場の成長が以前に比べ鈍化、ネットワークゲームを市場拡大の起爆剤にしたいソフトメーカーの期待が高まっていることの現れだろう。 ゲームで世界をリードしていた日本は、ネットワークゲームに関しては韓国、台湾に先行され、気がつけば後進国に。それだけに、「日本でもネットゲームが普及すれば、ゲーム市場は活性化する」という期待もある。

 9月20日に開催された「TGSフォーラム2002ブロードバンドトラック キーパーソンが語るブロードバンド戦略」には、ヤフー、ソニーコミュニケーションネットワーク(SCN)など、これまでゲームショウとは縁のなかった企業が講演に登場した。

 ヤフーのメディア事業部・宮坂学事業部長は、「これまでゲーム関係のイベントとは付き合いがなかった。昨年ヤフーBBが登場したことで、ゲームを大きなビジネスチャンスと捉えるようになった」と説明。ISP側がゲームをブロードバンドの重要コンテンツと位置づけていることを強調した。

 SCNのOnline Interactive Entertain ment BU製作チーム2・河合浩之チーフディレクターは、「ISPとしてブロードバンドインフラの提供・普及に取り組んでいくなかで、キラーコンテンツにゲームを位置づける」と、ゲームがブロードバンドにおいて重要なコンテンツとなるとの見方を示す。

 ADSLなどブロードバンド回線は急速に普及しているものの、それをさらに加速させる手段としてISP側ではゲームに期待しているようだ。

 だが、ブロードバンドに接続できるゲーム専用機が登場してきたことで、「やはり主流はゲーム専用機。パソコンはゲームに活用するものではないのでは…」との声も出てきた。果たして、オンラインゲームの主流はゲーム専用機となるのか、パソコンとなるのか。

パソコン v.s. ゲーム専用機

 ソフトメーカー代表としてこの講演に参加したコーエー、スクウェアなどのソフトメーカーは、「複数のデバイスで参加できるオンラインゲーム」という側面を強調した。 コーエーはすでにパソコンでオンラインゲームを提供しており、さらにプレイステーション2版の「信長の野望 Online」を開発中だ。「ビジネスチャンスがある限り、あらゆるプラットフォームで展開していく」(コーエー ソフトウェア4部長・松原健二執行役員)と、デバイスを限定しない考えを示す。

 スクウェアでもその姿勢は同じ。「プレイステーション2からだろうが、パソコンからだろうが、端末を選ばずに同じように遊ぶことができる」(和田洋一社長)と説明する。

 しかし、ネットワークゲームはソフトメーカーに必ずしもバラ色の未来をもたらすわけではない。20日の基調講演でソニー・コンピュータエンタテインメントの久夛良木健社長は、ネットワークゲームはサーバーなどの運営・管理が必要で負担も大きいことをあげ、「過剰な期待は危険」と警鐘を鳴らした。

 それにもかかわらず、ソフトメーカーがネットワークゲームに注力しているのは、この市場が見逃せないポテンシャルを秘めているから。ネットワークゲーム市場において、パソコンがどの程度シェアを獲得できるのかまだまだ未知数だが、ソフトメーカーがこの市場に注力していくことは、パソコン市場の活性化策としては期待できるのではないか。
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