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<BCN REPORT>COMPUTEX TAIPEI 2003 盛況のうちに終わる

2003/10/13 16:51

週刊BCN 2003年10月13日vol.1010掲載

 9月22-26日の5日間、ITイベント「COMPUTEX TAIPEI(コンピュテックス・タイペイ) 2003」が台湾・台北市の台湾ワールドトレードセンター(TWTC)で開催された。出展社数1241社、ブースの数は2419小間と過去最高を記録。重症急性呼吸器症候群(SARS)の影響で、例年の6月開催を今年は9月に延期しての開催となった。(佐相彰彦)

今後は中国の出展企業増が課題

■出展社数は過去最高

  「COMPUTEX TAIPEI 2003」の出展社数は、昨年より143社増え1241社、ブース数も昨年より114小間増加し2419小間だった。

 今年は、昨年まで使用していた台北ワールドトレードセンター(TWTC)ホール1とホール2のほか、ホール3を新しく追加。加えて、TWTC2階の展示スペースでは、昨年の100ブース程度から今年は300ブースに増え、211社の企業がパーツやコンポーネントなどを展示していた。

 ホール1では、通信機器をはじめ、ソフトウェアやディスプレイ、周辺機器、パーツ、メディアなどを展示したほか、韓国や香港、マレーシアなど海外からの出展企業がパビリオンを設けた。

 ホール2では、IC設計パビリオンとコンピュータシステム、PCカードパビリオンなどを設置。今回初の試みだったIC設計パビリオンは、CETRA(中華民国対外貿易発展協会)やTCA(台北市電脳商業同業公会)など、台湾政府の「両兆双星」政策に対応して企画したものだ。「両兆双星」とは、台湾政府が打ち出した半導体、液晶ディスプレイ、バイオテクノロジー、デジタルコンテンツの四大重点産業を育成する国家計画。

 ホール3では、海外大手メーカーが展示コーナーを設け、インテルやAMD、テキサス・インスツルメンツなどがこのホールに集中した。

 会場内では、台湾製デジタルカメラを展示しているメーカーが多かった。200万画素程度の普及機が大半だったが、400-500万画素のハイエンド機も揃ってきている。

 台湾のパソコン周辺機器メーカーであるベンキューでは、500万画素のデジタルカメラ「DC C50」や日本でも発売を検討している「DC5330」などを展示。DXGテクノロジーは、30機種以上のデジタルカメラを揃えた。Aiptek International(エーアイピーテック・インターナショナル)やMaxium Technologies(マキシマム・テクノロジーズ)なども年末に発売する予定の製品を展示した。デジタルカメラは、日本メーカーが世界市場を視野に入れたビジネスを展開しているが、台湾メーカーも負けてはいない。

 ほかには、ワイヤレス通信や情報セキュリティ、ストレージ関連製品などのブースに多くの来場者が集まった。

■陳水扁総統も出席

 開会式では、主催者の趙永全・CETRA秘書長や黄崇仁・TCA理事長などの挨拶に続き、当初予定になかった台湾の陳水扁総統が登場し、祝辞を述べた。陳総統は開会式出席後、会場内のブースを回るというパフォーマンスも行った。

 今年は、SARSの影響で9月開催になったものの、過去最高の出展者数を記録。台湾の基幹産業であるIT産業を盛り立てていこうとする姿勢が現れた展示会になった。台北市の街も、展示会効果で久しぶりに活気づいたという。

■中国企業の取り込みがカギ

 しかし最近では、世界のハードメーカーが安い人件費を求めて生産拠点を台湾から中国にシフトしている。台湾では部材メーカーが多く、パソコン部品の大半を生産しているケースが多かったが、製造大国といわれた台湾に以前のような勢いがないのも事実だ。

 実際、インドなど急激に市場が発展している地域からの来場者が増え、欧米からの来場者が減っている。ある業界関係者は、「欧米企業の多くは、台湾企業を通じて中国市場に進出することを目論んでいる」と、企業間取引の意味合いが強い「コンピュテックス」に出展しないケースも出てきていると話す。

 別の業界関係者は、「コンピュテックスでは、中国の出展社や来場者を増やすような施策も考えるべきではないか。IT産業は台湾の国策。こうした大胆な策を練ることも重要」と指摘する。

 また、9月開催となったことで、9月18-21日まで中国・上海で開催された「CeBIT Asia(セビット・アジア)」に出展を予定していた企業が次々とキャンセルしたという。コンピュテックス参加企業の関係者は、「同時期に行うのであれば、セビット・アジアより知名度が高いコンピュテックスだろう」と漏らす。

 今回のコンピュテックス・タイペイは盛況のうちに終わった。しかし、IT業界では現地企業との協業を含め、中国を視野に入れ海外ビジネスを拡大しようとする動きが増えつつある。今後は、中国企業の出展増加を見据えた取り組みが必要となるだろう。
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