店頭流通

ウィンドウズXP PCの家電化に進む ソニーのライセンス取得が追い風

2003/10/13 17:00

週刊BCN 2003年10月13日vol.1010掲載

 米マイクロソフトは、デジタル音楽、写真、映像などのデジタルメディアの利用に特化したOSの改訂版、「ウィンドウズXPメディアセンター2004」を発表した。デジタルライフを実現する中核機器で競合するとみられていたソニーが、同OSのライセンスを新しく取得するなど普及の追い風が吹き始めたものの、若いユーザーの支持をどう得ていくかなど、課題を山積している。

 マイクロソフトによると、同OSのユーザーの平均年齢は43歳。同社の当初予測よりかなり上の年齢層になっているという。

 こうした新しい利用方法が広く普及するかどうかは、流行に敏感な若者層を取り込めるかどうかにかかっている。マイクロソフトの今後の取り組みが注目されるところだ。

 ユーザー年齢層の高さの理由の1つは、同OS搭載パソコンの価格にある。通常のウィンドウズXPパソコンに機能が追加されているため、通常のパソコンより高額だ。このため典型的なユーザーは、仕事でもパソコンを多用する裕福なホワイトカラー層になっているようだ。

 今回の改訂版の発表では、デルとソニーがライセンスを取得したことも発表された。若者層での普及を促進するには、市場価格の大幅な低下が不可欠だが、デルの直販モデルが「メディアセンターパソコン」の市場価格のある程度の引き下げ要因になることは間違いなさそうだ。

 また、ソニーが家電メーカーならではのノウハウで、「メディアセンターパソコン」の家電化に向けた流れを作ることも期待できそう。

 ただソニーは、これまで同OSのライセンスを取得せずに、同様のコンセプトに基づくデジタルメディア利用を主眼に置いたパソコンを独自に開発、販売してきた。今回のライセンス取得で、その戦略がどう変わるのかが注目される。

 このほか、今回の発表にあわせ、ヒューレット・パッカード(HP)、ゲートウェイ、東芝といった従来からメディアセンターパソコンを販売していたメーカーが、改訂版搭載の最新パソコンを発表した。

 新しい機能としては、今回の改訂版でラジオ放送の停止、巻き戻し、早送り機能がリモコン上で可能になった。

 米国では、デジタルライフの中核機器としては、アップルコンピュータのマッキントッシュが先行している感がある。パソコンから音楽ファイルを転送させることのできる携帯用音楽プレイヤー市場では、同社の「iPod」が圧倒的な強さを誇っている。マイクロソフトがアップルにどう追撃していくのだろうか。

 一方日本では、パソコンよりもハードディスクを搭載した記録型DVDプレイヤーが、デジタルライフの中核機器として急浮上している。マイクロソフトとしては、家電王国の日本でもメディアセンターを何とか普及させたいところ。どのような戦略に打って出るのか注目される。(湯川鶴章)
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