全国ショップ激戦図

<全国ショップ激戦図>1.東京・秋葉原(上)

2003/11/03 18:45

週刊BCN 2003年11月03日vol.1013掲載

 全国の電気街で、パソコン専門店と家電量販店の競争が激化している。この連載では、それぞれの販売店が競合店舗とどのように差別化を図り、店舗づくりを行っていくのかをリポートする。

パソコンとデジタル家電の融合へ

 東京・秋葉原電気街のパソコン専門店では、パソコンとデジタル家電機器を融合させた店作りが動きつつある。2005年にヨドバシカメラがJR秋葉原駅前に進出するとあって、具体的な対応策を模索している段階だ。

 中央通りに面したカクタソフマップでは、11月の上旬に2階部分のデジタルAV(音響・映像)コーナーを大幅にリニューアルする。約50平方メートルの同コーナーを約2倍に拡大し、パソコンを中心にホームサーバーや液晶プロジェクタ、DVDレコーダ、液晶テレビ、PDP(プラズマディスプレイパネル)などを組み合わせで展示する。

 同店の店長を務める伊澤秀夫・店舗営業本部秋葉原営業部副部長は、「単に商品を展示しているだけで来店者数を増やすことは難しい。プッシュ型の店舗を作ることで来店者を増やしていく」と、新コーナーでデジタル家電の用途提案を訴え、新規需要の獲得を加速する。

 同店では、ノートパソコンやPDA(携帯情報端末)などで「モバイル」を切り口としたデモコーナーや、デジカメやビデオカメラなどを使った写真や映像のデモコーナー作りなどに取り組んできた。「明確なコーナー作りが顧客の購入意欲につながる」と強調。売上高については、「前年同月比増」で推移している。

 一方、ラオックスでは、デジタル家電とパソコンの融合を目指したデジタル館を閉店。基幹店のザ・コンピュータ館を「デジタル家電とパソコンを融合させた店舗にしていく」(山下巌・広報室部長)として、着々と準備を進めている。

 パソコン市場は00年をピークに需要が減少し、今は低迷の時期だ。最近ようやく上向き傾向に入ったものの、もはや成熟市場と言わざるを得ない。「パソコン単体では儲けにならない」というのが多くのショップの本音だ。

 しかも、秋葉原電気街以外の地域でパソコンを扱うショップが増えている。「わざわざ秋葉原に出かけなくてもパソコンが購入できる」環境になっている。

 秋葉原電気街でパソコンをはじめ、関連機器やパーツなどを販売するパソコン総合店にとっては、市場規模の拡大が見込まれるデジタル家電を取り入れた店舗展開が新規顧客を開拓する手段の1つと捉え、得意分野のパソコンおよび関連機器と組み合わせて差別化策を創出していく。(佐相彰彦)
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