全国ショップ激戦図

<全国ショップ激戦図>28.神奈川・川崎(下)

2004/05/24 18:45

週刊BCN 2004年05月24日vol.1040掲載

 売り場面積が約5900平方メートルと、さくらやで最大級の川崎駅前店(神奈川県)は、地元の川崎市民を中心に家族連れが来店する店舗として定着している。

ファミリーが顧客の中心

 1日平均の来店者数は、平日が6000人程度、土日が1万2000人以上で推移。京急川崎駅前の大型複合商業施設「DICE(ダイス)」にテナント出店しており、土日の来店者は家族連れが圧倒的に多いという。ダイスは飲食店が充実しており、来店者が昼食を食べてから訪れたり、同店で買い物を済ませてから飲食店に行くなどの“流れ”ができているようだ。

 坂田秀行副店長は、「ファミリーがストレスを感じないようなフロア作りを徹底している」と強調する。店内は、ベビーカーがすれ違えるように幅の広い通路を確保。加えて、丁寧な接客で「百貨店並みにゆっくりと店内をみてもらう」ことを心がけている。

 商品展示は、「単品で展示するのではなく、ソリューションとして提供する」ことにも力を注いでいる。なかでも、パソコンコーナーではノートパソコンの販売アップのために、無線LANなどモバイルユースを重視した用途提案を行っている。デスクトップに関しては、分かりやすい説明で、初心者がメーカー品ではなくショップブランドモデル「新宿パソコン」を購入することに結び付いている。

 薄型テレビコーナーは、アテネオリンピックで需要が増えると予想しており、近く増床を計画している。現状のスペースからどの程度コーナーを広げるかは、「どれだけ薄型テレビを買う人が増えるかを試算して、縮小するコーナーを今後決めていく」予定だ。

 同店のオープンは2003年9月12日。オープン当時は競合店舗がヨドバシカメラの「マルチメディア京急川崎」だった。現段階では、ヨドバシカメラがマルチメディア京急川崎を「ヨドバシアウトレット京急川崎」とアウトレットショップに改装し、なおかつJR川崎駅前に「マルチメディア川崎ルフロン」を出店したため、「競争が激しくなっている」という。

 しかし、カメラ量販店の店舗が増えたことで、「パソコンや家電機器を川崎駅前で購入するという意識をもつ川崎市民は増えてきたようだ」と分析。今後は、「川崎地区から東京・大田区などの住民が川崎まで買い物に訪れる」ことを見込み、チラシの配布場所を見直すことも検討項目の1つになっている。

 他店との競争を生き抜くために、電池やプリンタのインクといった消耗品の品揃えを充実させてポイントカードユーザーによるポイントでの購入を促し、頻繁に来店する固定客を確保することで対応していく戦略だ。(佐相彰彦)
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