全国ショップ激戦図

<全国ショップ激戦図>33.広島市中区(中)

2004/06/28 18:45

週刊BCN 2004年06月28日vol.1045掲載

 ヤマダ電機が広島市中区新天地で初の都市型出店したことで、広島市中区にあるパソコン専門店や家電量販店の多くが顧客の確保および売上増に向けた対策を立て始めた。

1顧客の購入単価増を徹底

 今年3月3日にオープンしたベスト電器の「そごう広島店」(中区基町)は、「そごうにテナント出店した効果で、競合店舗と異なる顧客を獲得している」(馬場勝浩店長)と自信をみせており、来店者数の増加よりも、「1顧客あたりの購入単価を上げる」(同)戦略に切り替えた。

 同店は、紙屋町周辺で最も集客が多い「そごう広島店」内にあることが最大の強み。1日平均のレジ通過数は、平日で400-500人、土日で約1000人。購入者の7割以上が女性で占めており、「ほとんどが40歳以上の女性で、そごうの固定客が購入している」(馬場店長)という。「そごうで家電機器を購入するという意識がユーザーに根付き始めているのではないか」とみている。

 現段階では、女性向けの理美容機器が売れ筋になっており、1顧客あたりの購入単価は平均2万円前後。「提案型のデモコーナーと百貨店ならではの接客を行うことで、薄型テレビやパソコン本体などを拡販し、1回の購入で10万円以上の顧客を増やす」(同)ことで売り上げアップにつなげていく。

 ベスト電器では、そごう広島店が「広島県のマーケットシェアを高める戦略的な店舗」(小野浩司・取締役中国地区担当部長兼広島本店店長)になっており、「広島県のマーケットシェア10%前後を、04年度(05年2月期)末までに15%まで引き上げる」(同)方針を固めている。

初年度は、同店の売上高を15億円と見込み、さらにその他店舗でも拡販に努めることで、広島県全体でのベスト電器の売上高を350億円規模から500億円規模まで拡大することを目指す。

 1顧客の購入単価を増やすことについては、紙屋町を本拠地に広島県で30%と圧倒的なマーケットシェアを誇るデオデオも積極的。同社は、家電館として構えていた本店別館を、03年11月にパソコン館に改装しブロードバンドを切り口に、パソコンと関連機器をセットで販売していく体制を整えた。

 デオデオの持株会社であるエディオンでは、「今年は薄型テレビの需要が増える一方、パソコン需要が伸び悩むといわれている。しかし、提案型の店舗作りでパソコンの需要を掘り起こす」(久保允誉社長)ことにも取り組んでいる。広島市中区のマーケットシェア確保に向け、売上高が減少しているパソコンを改めて売上増の重要な柱に据えることで競合他社との差別化につなげていくようだ。(佐相彰彦)
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