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FEPソフト販売動向

2004/07/12 16:51

週刊BCN 2004年07月12日vol.1047掲載

回復基調鮮明に

付加価値化や中国語需要が追い風

 フロントエンドプロセッサー(FEP)ソフトの販売本数が回復基調に向かっている。FEPソフト開発大手のジャストシステムは、2004年3月の販売本数が前年同月比で65%だったのに対し、6月では同89%まで回復した。中国語入力のFEPソフトを開発する高電社は、4月の前年同月比が74%だったのに対し、6月では同120%と前年同月比プラスに転じた。

 回復基調に向かっている背景には、ベンダー各社の差別化戦略が挙げられる。ジャストシステムの日本語入力用FEPソフト「ATOK」シリーズは、本来の日本語変換能力の高さに加えて、医療や法律など業界別の辞書を充実させるなど広い用途に対応させている。

 高電社の中国語入力用FEPソフト「チャイニーズライター7」は、実売価格が2万円以上と高額であるにもかかわらず、中国語需要の拡大が追い風になって販売増に転じた。国内企業が中国市場に目を向けており、中国語の入力に関する需要の高まりが前年同月比でプラスに押し上げる遠因にあるようだ。昨年12月に中国語入力に関するガイドブックを製品に添付して製品の取り扱いを分かりやすくしたこともユーザー層の拡大に結びついた。

 また、エルゴソフトの日本語入力用FEPソフト「イージーブリッジ」シリーズは、マッキントッシュ向けの日本語入力に特化し安定したシェアを堅持している。

 6月月間の販売本数ベースのベンダー別シェアは、ジャストシステムがATOKを主軸に83.3%、高電社が「チャイニーズライター7」を主軸に11.1%を得た。金額ベースでは、ジャストシステム70.0%に対し、高電社が25.2%となり、チャイニーズライター7の単価の高さが高電社の金額シェアを押し上げている。

 FEPソフト市場全体では、6月月間の販売本数ベースで前年同月比84%と前年同月比割れが続いているものの、FEPソフトの高付加価値化や中国語需要の拡大などを受けて、今後プラスに転じる可能性は大きい。
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