全国ショップ激戦図

<全国ショップ激戦図>38.福島・福島市(上)

2004/08/02 18:45

週刊BCN 2004年08月02日vol.1050掲載

 福島県では、経済の中心が福島市から郡山市にシフトしつつある。このため、福島市の家電量販店やパソコン専門店で来店者減というダメージを受けるショップが出始めた。福島市は、東京・秋葉原電気街などをはじめとした激戦地区と比べ、ショップが密集しているわけではないものの、大手家電量販店が市内の各地に大型店舗を出店。集客と比べ過剰店舗になりつつあることから、競争が激化している状況だ。

集客シフトで競争が激化

 福島市で出店している家電量販店は、ヤマダ電機やコジマ、ギガスケーズデンキ、デンコードーなど。福島県を本拠地とする大手家電量販店が存在しないため、近隣の県それぞれの本拠地でマーケットシェアを誇示している“参入組”が福島県でのマーケットシェアを高めようと、福島市に大型店舗を出店し、シェア争いを繰り広げている。

 福島市で来店者数を増やしているのは、ヤマダ電機とギガスケーズデンキ。百貨店のマイカルが住宅地の南矢野目に大型店舗の福島サティを出店。南矢野目付近の住民の多くは週末になると福島サティに買い物に出かける。

 福島サティは、国道13号線と福島西道路の交差点付近にあり、もともと国道13号線沿いに店舗を構えていたヤマダ電機のテックランド福島店(福島市御山三本松)や、南矢野目に出店していたギガスケーズデンキの福島パワフル館の集客を上げることになった。

 他の地区で出店する家電量販店については、南矢野目の福島サティのように高集客の店舗がないことや、郡山市に集客がシフトしていることなどが影響し、なかなか来店者を増やせないというのが現実だ。8月にアテネオリンピックが開催されることで、薄型テレビやDVDレコーダーなどは堅調に販売増となってきたが、市内のある量販店関係者は、「思った以上には伸びていない」と肩を落としている。

 家電販売に関しては、自店の強さに加え、回りの環境に後押しされたショップがマーケットの主導権を握りつつある。パソコン専門店でも来店者が減少するという状況は否めないが、パソコンおよび関連機器に特化しているという専門性で新規パソコンユーザーの開拓に力を注ぐ。

 これは、福島市の家電量販店がファミリーを対象に来店者を増やそうと、家電機器やAV(音響・映像)機器の拡販に力を入れていることが原因だ。家電量販店の販売に対し、パソコン専門店ならばパソコンの買い替え需要を獲得できる。パソコンおよび関連機器で、より丁寧な接客を武器に差別化を図っている。利益アップのためには、ショップブランドパソコンの拡販というわけだ。(佐相彰彦)
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