店頭流通

松下電器産業 サービスプラットフォーム構築 新SDカードの普及促進へ

2004/10/11 18:45

週刊BCN 2004年10月11日vol.1059掲載

 松下電器産業(中村夫社長)は、新たに開発した非接触ICカード機能付き「SDメモリーカード」の普及促進を狙い、サービスプラットフォームの構築を進める。

 大容量メモリと利用者認証を含めた高いセキュリティ機能を有する新メモリカードは、業務向けから個人や家庭を対象としたサービスまで幅広いソリューションへの応用が考えられる。

 当面はカードと機器を組み合わせ、企業内における情報セキュリティなどでの活用が見込まれるが、普及促進には利用者のニーズに応えるだけでなく、選択可能なサービスを提案・提供できる体制が必要となる。このため、決済機能を持つ金融機関やその他のサービス機関などとのコンソーシアムを含め、サービスプラットフォームの構築を進めたい考えだ。

 新たに開発したのは、SDメモリーカードに非接触通信が可能なICカード機能を組み込んだ「smartSD(スマートSD)カード」。SDメモリーカードは、2000年の市場投入以降、標準化などの取り組みによりメモリカードにおけるシェア拡大を図り、04年には世界市場の36%(7600万枚)の需要が見込まれている。

 松下電器では、市場でのプレゼンスを背景に、用途拡大の進むICカード機能を取り込むことで、セキュリティ性能の高いユビキタスネットワークの実現を目指す考え。12月からサンプル出荷を始め、05年秋以降に商用化を図る計画。

 当面は、ICカード機能による認証と安全性の高い大容量メモリの特性を生かし、企業内などにおける情報セキュリティシステムでの利用などが想定され、松下電器グループとして、機器との組み合わせでユーザーの求めるシステム構築などに取り組むことになる。

 一方で、携帯電話などとの組み合わせで、様々なサービスの提供が可能だが、ユーザーの要求に応じるだけでは利用分野が限られ、ポテンシャルを十分に発揮できないことも考えられる。普及促進の面からは、カードと機器の提供にとどまらず、松下電器がイニシアチブをとって利用領域を拡大させる必要もある。このため、サービスプラットフォームの構築を積極的に進める考え。

 根幹となる決済機能では金融機関との協力が必要となるほか、様々なサービス提供事業者とも協力し、サービスメニューを拡充する方針。スケジュールは明らかにしていないが、コンソーシアムの結成も含め、サービスプラットフォームの構築を進める。将来的には、業務用ソリューションからモバイルサービス、ホームサービスまでをカバーするユビキタスネットワークの中核デバイスに育成する考えだ。
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