店頭流通

2004年10-12月のパソコン販売 需要回復に手応え

2004/10/18 16:51

週刊BCN 2004年10月18日vol.1060掲載

 今年10-12月期における国内パソコンの出荷台数は、各メーカーとも前年同期を上回る見通しを立てており、各社の予想を総合すると、個人市場が前年同期比5%増、法人市場が同10%増になる模様だ。全体では同8%程度の増加とみられる。暗雲が立ちこめていたパソコン市場にも、ようやく明るい日差しが差し込むことになりそうだ。

個人向け5%増、法人向け10%増へ

 個人向けパソコン市場では、メーカーの多くが以前から力を入れているAV(音響・映像)機能をアピールしている。今年10-12月期の出荷台数は、「前年同期比5-6%増」(NECパーソナルプロダクツの片山徹社長)、「市場成長率のプラス5%」(富士通の伊藤公久・経営執行役パーソナルビジネス本部長)、「冬商戦では、AV搭載率を夏商戦の25%から40%まで引き上げたことで、前年同期比30%増を目指す」(東芝の長嶋忠浩・PC第一事業部PCマーケティング部長)と、各社とも前年同期を上回る水準に狙いを定める。

 冬商戦向け新モデルが発売になり、「デスクトップパソコン市場は、全体の8割がテレビチューナー搭載になっている。リビングだけでなく、自分の部屋でもテレビを視聴する習慣を考えれば、十分に需要を掘り起こせる」(NECパーソナルプロダクツの片山社長)、「デジタルAV機器と融合したAVパソコンの値頃感を訴えることが拡販につながる」(富士通の伊藤執行役)、「ノートパソコンは、今年の夏商戦までにAV機能の搭載率が市場全体の15%に達した。冬商戦は25%まで上がる」(東芝の長嶋PCマーケティング部長)と、AVパソコンの需要拡大に期待をかける。

 法人市場では、景気回復を背景に企業のIT投資が活発化していることから、パソコンと周辺機器、ソフトウェアなどを組み合わせた“複合提案”でリプレースを促していく。10-12月期は、「前年同期比10%増はほぼ確実。うまくいけば15%増になる可能性もある」(NECパーソナルプロダクツの片山社長)と、強気の姿勢を崩さないメーカーもある。

 パソコン市場は、個人、法人ともに需要回復への手応えが確かなものになってきたようだ。なかでも、個人市場は長らく低迷が続いていただけに、ビックカメラが東京・有楽町店(東京都千代田区)でパソコンの“用途提案”を前面に押し出した特設コーナーを設置するなど、需要回復の芽を大きく伸ばそうと意欲をみせるショップも出てきた。

 “用途提案”、“複合提案”がそれぞれ個人需要、法人需要に刺激を与えることができれば、市場が久しぶりの完全復活に向かう可能性は十分にある。
  • 1