店頭流通

家電メーカー各社 デジタル家電で業績拡大 薄型テレビが好調

2004/11/08 16:51

週刊BCN 2004年11月08日vol.1063掲載

 各家電メーカーにおける薄型テレビの販売が好調だ。2004年度(05年3月期)上期では、前年同期比で2倍程度の売上高を記録したメーカーが多い。今年の夏商戦は、アテネオリンピックが薄型テレビ需要を押し上げた。冬商戦も引き続き販売が拡大するとし、各社とも強気の販売戦略を維持していく考えだ。

 松下電器産業(中村夫社長)では、04年度中間期でPDP(プラズマディスプレイパネル)テレビの売上高が前年同期の2.1倍にあたる1007億円となった。中村社長は、「オリンピックで薄型テレビの販売が増加した」とオリンピックをターゲットにした商品戦略が当たったとしている。

 シャープ(町田勝彦社長)は、10インチ以上の液晶テレビが売上高で前年同期の1.9倍となる1317億円を達成。「30インチ以上の販売比率が昨年度の13.5%から20%以上を占めるようになった。これにより、平均単価が上がっている」(佐治寛副社長)と、台数の増加とともに単価のアップが売上増の要因と語る。

 東芝(岡村正社長)では薄型テレビの具体的な売上高を明らかにしていないものの、「売り上げが堅調に伸びていることは確か」(笠貞純・取締役執行役員上席常務)とし、他社に出遅れてはいないとけん制する。

 下期については、「オリンピック商戦が一段落し、9月は若干落ち込んだが、地上デジタル放送のエリアが拡大するなどの市場環境や、65V型の大型PDPの発売で、年末の販売は期待できる」(松下の中村社長)、「大画面化が進み、売り上げは確実に増えていく」(シャープの佐治副社長)など、依然として順調に推移するとみている。シャープについては、今年度通期での液晶テレビの売上高を、前年度の1.7倍に相当する3000億円と強気の計画だ。

 一方、「市場では、売価ダウンが10%を超えている状況。今後も、価格が下落していく」(東芝の笠上席常務)と、流通量の拡大による価格ダウンという懸念材料もある。加えて、「大画面を購入する需要が拡大しているなか、低消費や価格面などで、大型ではPDPが液晶を凌駕する」(松下の中村社長)、「大型化では、40V型の液晶テレビでPDPと互角に戦える。しかも、来年には50V型の商品化を計画しているため、液晶はさらに進化していく」(シャープの佐治副社長)と、PDPと液晶の市場での主導権争いは、ともに大型化にメドをつけていることからさらに過熱。薄型テレビのシェア争いは、ますます激しさを増していきそうだ。
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