秋葉原物語

<秋葉原物語>[第1部 ポテンシャル]3.地域密着が基本

2004/11/15 16:51

週刊BCN 2004年11月15日vol.1064掲載

 俗に“秋葉原電気街”と呼ばれるのは、千代田区外神田の一帯。再開発計画は東京都ばかりでなく、千代田区にとっても重要な事業だ。千代田区が重視しているのは“まちづくり”についてどう取り組むべきかという点。2002年4月に「秋葉原駅付近地区まちづくり推進協議会」を設置し、地元町会や団体、開発事業者、行政などが秋葉原地区のまちづくりの議論を交わしている。

 協議会の会長は、大山恭司・千代田区助役。副会長には、谷口好市・秋葉原再開発協議会理事長(ラオックス社長)、地元町会からは、秋葉原電気街振興会など地元の6町会や東部商店会、開発事業者としてNTT都市開発や鹿島建設、ダイビル、レールシティ東開発、国鉄清算事業本部、ヨドバシカメラ、富士ソフトABCなどが参加している。

 行政では、千代田区のまちづくり推進部と環境土木本部、政策経営部、東京都の都市開発計画局と産業労働局、建設局が関わっている。事務局は千代田区まちづくり推進部開発調整担当課に置く。

 今年10月末までに開かれた協議会は4回。個別の議題に関する掘り下げた討議を行う「ワーキング・グループ」が10回にのぼる。この協議会の事務局員として参加している、佐藤彰・まちづくり推進部開発調整主査(開発調整担当課長付)は、「秋葉原地区の再開発に携わる企業や団体、行政すべての連携を強めなければならない」と連携の必要性を痛感している。

 千代田区でも東京都と同様に、「情報発信の街として秋葉原のITセンターを世界のITセンターにしたい」と考えている。しかし、「最先端の技術が集結し、世界各国からの集客を高める街になったとしても、基本はやはり地元住民にとって魅力のある街でなければならない」と強調する。

 そのためにも秋葉原にかかわる全ての組織、団体などの協力が不可欠。そうでなければ、秋葉原地区を世界でトップのIT拠点として進化させる一方、地域密着の“誰もが気軽に訪れる街”というコンセプトは実現できないからだ。(佐相彰彦)

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