拡大するデジタル情報機器市場

<拡大するデジタル情報機器市場>14.車載端末

2004/12/06 16:51

週刊BCN 2004年12月06日vol.1067掲載

 車載端末、いわゆるカーナビゲーションシステムの年間出荷台数は283万台(2003年度推計値)で、09年度には年間出荷台数440万台に達し、全車両の31%に搭載されるまでに普及が進むと野村総合研究所(NRI)では予測している。(守岡太郎 野村総合研究所 コンサルティング部門 情報・通信コンサルティング二部)

 このように順調な市場拡大が見込まれる車載端末だが、その市販品と純正品(自動車メーカーが出荷時点で自動車に搭載するもの)の比率は急激に変わりつつある。

 高機能製品が主流であった市販品の市場は急速に純正品に取って代わられ、市販品の市場は09年には100億円程度まで縮小すると考えられている。

 車載端末はこれまでCD-ROM、DVD、HDD(ハードディスク)と記憶媒体を高速化かつ大容量化させ、経路探索におけるレスポンスタイムの短縮など基本機能を充実させる一方で、音楽CDのデータをHDDにダビングするなど付加機能の充実も進めてきた。

 当初、このような技術革新は自動車の開発サイクルに合わず、純正品には1世代前のものが採用される傾向にあったが、昨今ではこのずれが解消され、純正品にも最新の技術が導入されるようになってきた。

 これが純正品の売れ行きを伸ばした理由の1つになっていると考えられる。また、車載端末の普及率がますます上がるなかで、美観(※デザイン上の調和)に対するユーザーの要求水準が上がったことも純正品の普及を後押ししている大きな原動力である。

 今後の車載端末の動向を左右すると考えられる機能を以下に3つ挙げる。

 第1は、車外への持ち出しなど新しい利用スタイルを可能にするものである。代表例は三洋電機の「ゴリラ」である。この製品は脱着が容易なため、初心者を中心に人気を博しており、順調に出荷台数を伸ばしている。

 第2は、03年12月に開始された地上デジタル放送である。今後の車載端末でのキラーアプリケーションになることが期待されているものの、現時点では車をはじめとする移動体向けの地上デジタル放送の先行きは未だ不透明である。

 第3は、通信機能によるテレマティックスである。現在、自動車メーカーが主体となって純正品のみでサービスを運営している。今後、テレマティックスサービスが本格的に普及した場合、純正品市場の拡大はより加速される。

※最初からインパネに埋め込まれているタイプが好まれる傾向にある。
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