店頭流通

エレコム 欧州戦略の基盤構築に着手

2004/12/06 18:45

週刊BCN 2004年12月06日vol.1067掲載

 エレコム(葉田順治社長)は、早ければ年内、遅くとも来春までにイタリアに現地法人を設立する。パソコン・アクセサリーや周辺機器市場の拡大が続く欧州でのビジネスを強化するのが狙い。これに合わせて、イタリアおよび、すでに現地法人があるイギリスには商品の開発部隊も配置し、日本とは異なる規格や嗜好のある現地のニーズを素早くつかみ、商品化できる体制を敷く。その一方で、欧州拠点整備も3か所目になることから、域内における事業の見直しにも着手する。エレコムグループとして合理的・効率的な事業展開が図れるよう管理体制の構築を進めるものとみられ、将来の地域統括のあり方なども念頭に、欧州戦略の次のステップへの基盤を固める考えだ。

年内にも伊に現地法人

 エレコムの海外展開は、多彩な製品に対する現地企業からのニーズに応えるとともに、新たな成長のコアを確保する観点から進めている。欧州では、2003年3月にイギリスに販売子会社のエレコムUKを設立、04年9月には同じく販売子会社としてドイツにエレコム・ドイチェラントを設立するなど、パソコン周辺製品の市場拡大に合わせ、事業展開を加速している。

 今回新たに設立するイタリア現地法人の詳細は明らかになっていないが、他の海外子会社同様にエレコムの100%出資で、トップにはイタリア人が就任する見通し。

 就任が予定されているイタリア人トップは、もともとパソコン関連製品の開発出身者で、新会社でも開発を手掛けることを求めている。欧州は規格や嗜好が日本と異なり、それぞれの国に特有の商品もある。このため、イタリアで新たに開設する現地法人には開発部隊も配置する。同時にエレコムUKにも新たに開発部門を置き、一部製品を現地開発することにした。

 エレコムの欧州拠点整備は今回のイタリアで3か所目となる。このため、それぞれの子会社のミッションなどを含め子会社相互の効率的な運営なども必要になるため、管理体制の整備に乗り出す。ただし、事業経営については現地化を進めることを基本に置いており、それをサポートするための制度などの整備を目指すものとみられる。

 エレコムでは、海外拠点の拡充を進めるとともに、パソコンとAV(音響・映像)機器との融合領域など、新規事業分野の開拓を進めている。いずれも企業としての成長にとって新たなコアと位置付けており、11月に基本合意した周辺機器メーカー、ロジテックの買収を含め、事業分野の拡大は今後も続いていくと考えられる。

 このため、本社内に業務統括部を設置し、国際的なファイナンシャルプランナー資格保有者やMBA取得者などを中途採用で確保し、新たな管理体制の整備を進めている。葉田社長も「これからはグループ経営になる」とし、海外の場合は経営の現地化を含め、子会社への権限委譲とそれぞれの独自性発揮がグループに相乗効果をもたらす体制を志向している。

 ただし、管理体制やサポート体制はグループ全体として対応する必要があることから、今後、業務統括部がヘッドクォーターとして制度や体制の整備を進めていくことになる。

 欧州の場合、フランスやスペインでの事業展開も想定されており、将来は日本を中心としたアジア、米州などと並んで3つの極を形成する重要地域となる。これから手掛けることになる欧州事業の交通整理は、次の欧州戦略への基礎固めになるとともに、グループ経営の手法を探り、アジアや米州における地域統括体制の構築につなげるステップとしても、大きな意味を持つことになる。
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