全国ショップ激戦図

<全国ショップ激戦図>56.東京都杉並区(上)

2004/12/13 18:45

週刊BCN 2004年12月13日vol.1068掲載

 12月4日、家電量販大手のコジマは、東京都杉並区の井草八幡宮に近い青梅街道沿いに、都内で24店舗目、全国で238店舗目となる「NEW善福寺店」をオープンした。杉並区内をターゲットに顧客開拓に乗り出す。

コジマ「NEW善福寺店」オープン

 NEW善福寺店は、地下1階から地上4階までのうち2階部分を売り場とし、1階がスーパーマーケットのサミット、地下1階と3─4階が駐車場になっている。

 サミットとの複合店舗形式を採用したのは、「既存の顧客に加え、平日には主婦などに買い物ついでに寄ってもらう」(渡邉英司店長)のが狙い。営業時間を午前10時から深夜0時までとし、「夕食を終えた家族でも気軽に来店できるようにした」と、長時間営業で多くの新規顧客を獲得する方針だ。

 売り場面積は2416平方メートル。コジマのなかでは中型店舗だ。商品数は1万点と、売り場面積に比べて少なめ。これは、ベビーカーがすれ違えるように通路を広く取り、来店者がストレスなくショッピングを楽しめるようにしたためだ。

 商品数が少ないとはいえ、「売れる品揃えという点では競合店に負けない。年末年始の番組を新しいテレビで見たい、番組を録画したいというニーズに応えて、薄型テレビやDVDレコーダーなどの品揃えを充実させた」という。商材を絞り込んで過剰な在庫を持たないような品揃えに配慮したわけだ。

 また、電気炊飯器や電子レンジなど白物家電について、実演コーナーを設け、各商品別の機能の違いを実際に体験できるようにした。「炊飯器でいえば、ご飯の炊き比べをして、お客さんが一目で自分に合った商品を選択できる」という。

 オープン初日は、開店時間前に約1500人が行列を作り、「幸先の良いスタートを切った」と渡邉店長も満足そう。この勢いで、来店者数を増やしていき、オープン後1年間の売上高は45億円を見込む。

 コジマの店舗は、杉並区内では環状8号線沿いの「NEW井草店」1店のみだった。同店の近くには、練馬区南台中の環状8号線通り沿いにヤマダ電機の「テックランド練馬本店」が店を構えている。ヤマダ電機は、練馬区に練馬本店をはじめ、「テックランド大泉学園店」や「テックランド平和台駅前店」などを出店しており、ドミナント(高密度多店舗出店)方式で練馬区に集中するだけでなく、隣接する杉並区の顧客も獲得しつつある。

 これに対抗して、コジマは東京のマーケットシェア拡大のためには杉並区のシェアを競合店に奪われないことが重要と判断。今回、NEW善福寺店の出店により同じドミナント方式でユーザーを囲い込む戦略を打ち出した。(佐相彰彦)
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