店頭流通

アップルコンピュータ iPodをベースにMacユーザー拡大へ デジタルミュージックを切り口に

2004/12/13 16:51

週刊BCN 2004年12月13日vol.1068掲載

 アップルコンピュータがデジタル携帯オーディオプレーヤーの需要拡大に力を注いでいる。市場で人気の高い「iPod(アイポッド)」で非パソコンユーザーに利便性を訴え、デジタルミュージックの編集用にMacユーザーを増やしていくことを狙う。アップル日本法人の取り組みについて、米国本社のマーケティングバイスプレジデントであり、このほど代表取締役に就任した前刀禎明氏に聞いた。

 ──デジタル携帯オーディオプレーヤーの「iPod」が順調に販売台数を伸ばしている。

 iPodは、Macユーザーを積極的に増やしていくための戦略的な製品だ。iPodで音楽好きなユーザーを獲得し、これまでパソコンをあまり活用していなかった層にも広く普及している。パソコンは成熟した市場だが、このまま低迷していくのではなく、良い意味での成熟と考えている。今後は、パソコンを使って何ができるのかをユーザーに訴えていけば、パソコン需要を再び掘り起こせる。パソコンユーザーだけでなく、非パソコンユーザーに対してもパソコンの用途を促進できていくのではないだろうか。

 ──iPodによりMacユーザーは増えたのか。

 確実に増えている。パソコンを使ったことがなかった顧客が、iPodの購入時に、選択肢の1つとして、同じアップルのiMacを購入する傾向が出ている。しかも、ウィンドウズユーザーがiPodを購入し、パソコンを活用してデジタル音楽の編集がいかに簡単に行えるかを認識したことで、パソコンを買い替える際、iMacを購入するケースも増えている。

 ──新しいユーザー層の開拓につながったことで、アップルコンピュータのビジネスの方向性が変わるのか。

 当社では、「iMacデモ展示店」を通じてパソコン専門店や家電量販店が販売する「インダイレクト」モデルをはじめ、米国本社の直営である「アップルストア」、ウェブサイトによる「アップルオンラインストア」などといった販売経路がある。さまざまな販売経路をもつ強みを生かし、横断的なマーケティングが可能だと考えている。アップルストアやオンラインストアでユーザーに体験してもらい、量販店などに来店させるのも1つの方法だ。販売経路を1つの点でみるのではなく、面で捉え、製品戦略も含めて一歩先を進んだマーケティングを行っていく。

 ──年末商戦が追い込みに入ってきた。

 具体的な数値は明らかにはできないが、iPodに関しては確実に前年同期を数倍上回る水準になるだろう。これに合わせて、iMacやiBookを拡販できる自信がある。
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