秋葉原物語

<秋葉原物語>[第1部 ポテンシャル]12.組立PC盛況でパーツに活気

2005/01/24 16:51

週刊BCN 2005年01月24日vol.1073掲載

 東京・秋葉原電気街のパソコン専門店や家電量販店では、映像ニーズの広がりでAV(音響・映像)機能搭載のパソコンをはじめ、薄型テレビやDVDレコーダーなどの販売が好調だ。その一方で、組立パソコン用パーツ専門店で聞いてみると、「映像ブームは過ぎ去った」との声が挙がっている。

 パーツショップの多くは、昨夏までグラフィックスボードやテレビキャプチャボードなどが前年同期を大幅に上回り、好調な販売を続けていた。しかし、自作ユーザーの間で高画質が当たり前になっていることから、「映像関連が注目を集める商品ではなくなった」ようだ。そこで話題になるのが、次の売れ筋商材は何か、ということだ。

 自作ユーザーに共通しているのは、「部屋のインテリアに合わせ、筐体や液晶モニタなどのデザイン面でこだわりを見せるユーザーが多くなった」ということ。なかでも、PCケースやベアキットPCのデザイン性が、自作ユーザーから注目を集めている。

 省スペース性では、マザーボードメーカーを中心に各社が発売している小型パソコン「miniPC」が売上増の起爆剤になる可能性が高い。現段階では、ラインアップが充実していないことや価格が高いなどの点から、通常のベアキットPCと比べると爆発的に売れているとは言い難い。しかし、「値頃感が出てくれば売れる」と、秋葉原の多くのショップが期待を寄せている。

 最近では、インテル製の次期デスクトップインターフェイス「BTX」規格対応のマザーボードが徐々に増えてきた。このマザーボードを搭載したベアキットPCやBTXに対応したPCケースなどが数多く登場すれば、自作ユーザーが機能アップのためにパーツを購入することにつながる。

 昨年から今年にかけての年末年始商戦では、「価格に目をつむっても付加価値を求めるユーザーと、メーカー製パソコンを購入するよりも自作で安く済ませる買い替えユーザーに分かれた」と、はっきりと2極化の傾向が表れたという。自作パソコンの中級者を中心に筐体のデザインにこだわるユーザーが増えてきているようだ。

 この傾向は、自作ユーザーの顧客層の裾野が広がっている証拠。自作ユーザーの増加は、パーツショップが密集する電気街に活気をもたらすことになる。(佐相彰彦)
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