店頭流通
<ショールームを活用せよ>3 リコー
2005/01/24 18:45
週刊BCN 2005年01月24日vol.1073掲載
文書管理の未来を提示
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リコーの北米における統括会社であるリコーコーポレーションのショールーム「リコーテクノロジーポータル」は、米ニューヨーク市マンハッタンの中心部、ショッピング街として有名な5番街に居を構える。
このビルには同社のニューヨークにおける営業支店が入居しており、1階のショールームも営業支店の製品の展示スペースとして以前から活用されていたという。ここが現在の「リコーテクノロジーポータル」に改装されたのは2002年12月。実は、リコーは01年に大規模なソリューション内覧会をニューヨークのコンベンションセンターで開催予定だったが、米同時多発テロ事件により急遽中止。何らかの代替プレゼンテーション手段が必要になった。そこで、営業支店のショールームを改装。1年を経て「リコーテクノロジーポータル」としてオープンした。
オフィスのIT化、ネットワーク化は急速に進んでおり、営業担当者が単独で営業を行うことは難しくなりつつある。大企業の顧客が多いリコーにとって、その傾向は強かったという。そのため、顧客の社内ネットワーク環境を再現でき、さらには顧客とリコー側の専門スタッフが詳細な検討を行える拠点が必要と判断された。それに対する解答が「リコーテクノロジーポータル」だという。
■顧客向けプレゼンの場に

「リコーテクノロジーポータルの価値とは、われわれマーケティング部門が顧客の業務課題や要望を直接聞き、それぞれに最適なソリューションを提案できる点にある。ソリューション提案では、営業担当者に各分野の専門家を加えたチーム単位で行うことが必須となっている。さらに顧客のIT部門やマネジメント層に対し、業務課題をいかに解決することができるのかをプレゼンテーションする場も必要だった。結果としてこのショールームを利用した営業活動では、大企業向けの案件を多数獲得し、顧客とより密接な関係を築くことが可能になった。リコーテクノロジーポータルはわれわれにとって販売の現場そのもの」(野中副社長)。
このショールームは、リコーグループでも大きな話題だという。野中副社長は、「これまでリコーを複写機メーカーとしてしか認識していなかった顧客からも、リコーテクノロジーポータルのオープン以降、“リコーはここまでの提案ができる会社だったのか”との評価をもらっている。ここでは、顧客のワークグループの規模や特性によっていくつかのゾーンに区分している。それぞれのゾーンごとに専門的なソリューションの提案が行えるようになっている」と、胸を張る。
■シカゴ、サンフランシスコにも展開
現在ではシカゴとサンフランシスコにも同様のショールームがオープンし、全米できめ細かな展開が可能になっている。また、日本や欧州のリコーからも多くの社員がマンハッタンのショールームへ視察に訪れている。「リコーテクノロジーポータル」は、そのコンセプトや運営手法が全世界のリコーグループからも参考にされているという。
「ドキュメントマネージメント」という概念で新しい時代の文書管理の未来を見据えるリコー。同社はこのショールームとその運営手法で他社との差別化を図りつつあり、その成果は着々と現れているようだ。そして、その姿を見ることができるのがこのマンハッタンのショールーム、「リコーテクノロジーポータル」なのである。
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