秋葉原物語

<秋葉原物語>[第2部 エボリューション]14.“フィールド”が“クロス”する

2005/02/07 16:51

週刊BCN 2005年02月07日vol.1075掲載

 東京・秋葉原の進化の象徴的な存在は、JR秋葉原駅前で建設が進められている超高層ビル「秋葉原クロスフィールド」だ。

 世界のIT拠点を目指す新・秋葉原にとって、秋葉原クロスフィールドは最重要の拠点になる。東京都が2001年に策定した「秋葉原地区まちづくりガイドライン」に基づき、NTT都市開発とダイビル、鹿島のデベロッパー3社で構成するUDXグループが秋葉原駅前都有地を落札。産学官の連携機能や情報ネットワーク機能、集客機能を有する「秋葉原クロスフィールド」に着工した。UDXグループは03年から建設工事をスタート。今年3月にまず秋葉原ダイビルがオープン、来年年3月には「秋葉原UDX」が完成する予定だ。

 秋葉原ダイビルは、地下2階・地上31階。中低層階に「産学官連携機能」として、大学や企業の協力により学生や研究者が研究開発できる場を提供するほか、情報交流センターを設置しベンチャー企業の育成も計画している。さらに、データセンターを置いて、ギガビット級の大容量ネットワークを介した情報のハブとしても機能させる。

 秋葉原UDXは、地下3階・地上22階。地上1-4階の低層部分を「IT&集客機能スペース」とし、飲食店やショールーム、イベントスペース、子供がIT関連機器を体験できるデジタルワークショップなどを設置する。高層階は両ビルともテナントオフィスのスペースで、各企業の事業所などが入る。駅から秋葉原クロスフィールドまでは、人の流れを円滑にするように電気街口駅前とデッキでつなぐ。秋葉原の集客をさらに高めていくことが狙いだ。

 「秋葉原クロスフィールド」という名称は、企業や大学、ユーザーなど、さまざまな領域(フィールド)のIT関連有識者が交流(クロス)して情報交換を行う場、という意味が込められている。オフィスビルにビジネス交流の場を設け、産業活性化にもつなげるのが狙いだ。秋葉原駅が山手線や京浜東北線、総武線などのJR線や東京メトロの日比谷線のターミナル駅であり、さらに今秋に開業する「つくばエキスプレス」により、大学や研究機関などが集積する研究学園都市・つくば市と電気の街が接続される。情報、交通、人の流れと、様々な面で「交差(クロス)する」との意味合いがロゴと名称になった。(佐相彰彦)
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