店頭流通

アップル「Mac mini」発売 店頭販売は鈍い立ち上がり

2005/02/07 16:51

週刊BCN 2005年02月07日vol.1075掲載

 アップルコンピュータが1月29日に発売したデスクトップパソコン「Mac mini(マックミニ)」の店頭販売は、予想外に鈍い立ち上がりとなった。BCNランキングによると、発売初日から3日間、デスクトップパソコンの機種別販売台数シェアで5%に達していない状況。同社にとっては5万8590円からの低価格に設定するなど、Mac miniを戦略的な製品に位置づけており、その立ち上がりに業界各社の注目も集まっていた。ただ、店頭販売では思ったほどの“初速”が出てないものの、「直営店やオンライン販売では好調な立ち上がり」(アップル広報担当者)にあるという。

専門店とオンラインは好調

 BCNランキングによると、デスクトップパソコンの機種別販売台数シェアでMac miniの1.25GHzモデルが1月29日に2.6%、30日に1.0%、31日に2.2%という結果。1.45GHzモデルも29日に4.4%となったものの、30日は1.7%、31日は2.1%で推移し、発売日が週末だったにもかかわらず、必ずしも順調な売れ行きだったと言い難い状況だった。

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 Mac miniは、「Macの展示コーナーだけでなく、ウィンドウズ製パソコンを販売しているコーナーでも展示して欲しいと販売店さんにお願いしている」(山元賢治・アップル代表取締役)と意欲を燃やすほど、ウィンドウズユーザーをMacユーザーに乗り換えさせるための戦略的製品。しかし、同社の思惑とは裏腹に、「現段階では、ウィンドウズユーザーよりもMacユーザーが購入する傾向が強い」と、多くのショップが指摘する。

 しかし、ある大手家電量販店では、「メーカーが高付加価値のパソコンだけでなく、低価格機種も発売することはユーザーニーズに応える点では良いこと。今後は、ウィンドウズユーザーが買い増しモデルとして購入するケースも出てくるのではないか」と分析する。

 ショップブランド商品を販売するパソコン専門店では、「MacOSの低価格版という点でウィンドウズOSのショップブランドとは異なり、既存ユーザーをMac miniに奪われることはない。ただ、ショップオリジナルモデルと同様、パソコンの台数を絶対的に増やす商材であることは確か」と、ユーザーにとって選択肢が広がるメリットを訴える。

 一方、組立パソコン用パーツ専門店では、「キーボードやマウス、モニタをあえて同梱しないという点から、パーツユーザーがアップル取扱店でMac miniを購入し、同じ店でパソコン関連機器を購入する可能性もある」と、客足がアップル取扱店に流れることに危機感を募らせる。

 発売後の店頭販売は幸先の良いスタートではなかったものの、戦略商品であるMac miniが他のメーカー製パソコンの販売に影響を与える商材であることは確かだろう。

 アップルコンピュータでは、「オンライン販売や直営店では予約が殺到した」(広報担当者)と断言。具体的な販売台数は明らかにしていないものの、順調な立ち上がりを見せているという。

 オンライン販売や直販では期待通りに推移しているものの、店頭で“スタートダッシュ”を切れなかった要因は、アップル側の供給不足との見方がある。実際、「週明けには在庫がなくなり、その後は入荷がない」、「予約販売にも対応できなかった」などと漏らすショップも少なくない。
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