店頭流通

三洋電機 ベトナム新工場で光学系メーカーと協力 デジカメ生産で収益改善図る

2005/02/14 18:45

週刊BCN 2005年02月14日vol.1076掲載

 三洋電機(桑野幸徳社長)が事業戦略の大幅な見直しを迫られている。新潟県中越地震で被害を受けた半導体事業で国内生産体制の再構築を進めるのに加え、主力商品の1つであるデジタルカメラについても、5月に稼動するベトナム新工場ではOEM(相手先ブランドによる生産)供給先メーカーなどとのコラボレーション強化で収益性の改善を図り、海外市場の開拓を目指す。しかし、光学機器メーカーでは、商品力向上を狙いに光学系ユニットなどの内製化率を高める方針を打ち出すところも出てきており、三洋電機のデジカメ事業の基礎体力を高められるかは不透明だ。

 三洋電機は、デジカメ市場の拡大にいち早く対応し、2000年度(01年3月期)から生産量世界1の座を確保していた。しかし、OEMによる供給が中心であるのに加え、電機メーカーであるため光学系ユニットなどでの優位性を持てなかった。事業の主導権はOEM先にあり、国内でのデジカメ普及率が高まり、OEM先の在庫が積み上がると、三洋電機のデジカメ事業を直撃する形になった。04年度は当初1800万台の生産を計画していたが、昨年10月の中間決算段階で1400万台に下方修正し、さらにこのほど1100万台に再修正した。これは03年度をやや下回る水準で、高画素化と価格下落により利益率も03年度を下回る見通し。

 同社では、事業の不安定要因である「OEM戦略をもう1度練り直す」(西口美廣・常務執行役員)ことを目的に、5月に稼動予定のベトナム新工場で、OEM先や部品調達元の光学系要員と共同開発に取り組む方針。複数メーカーとのコラボレーションを想定している模様だが、同一拠点での協力には困難も予想される。加えてOEM先メーカーでも、商品力と採算性を高める目的で光学系ユニットの内製を拡大する動きが出ている。

 「スケールメリットを追求する意味から、OEM先が発注を増やすことはあっても、減らすことは無い」(西口常務)とみているが、組み立ての受託という色彩が強まれば、収益力はさらに低下する恐れもある。

 同社は、半導体事業の再構築も進める方針だが、独自性の高いキーデバイスの開発などといった連携が、デジカメ事業の戦略にも大きな影響を与えることは間違いない。
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