全国ショップ激戦図

<全国ショップ激戦図>65.神奈川県厚木市(中)

2005/02/21 18:45

週刊BCN 2005年02月21日vol.1077掲載

 パソコン専門店のZOAが1999年に神奈川県厚木市に出店した「ZOA23」は、組立パソコン用パーツをどの競合店よりも低価格で販売し知名度が向上した。ヤマダ電機やコジマなど大手家電量販店が大型店を構える地域では、「家電を販売するショップとの違いを、価格や店舗作りでユーザーに伝えることが重要」(ZOA23の福嶋賢史店長)と、明確な差別化策を打ち出さなければ生き残れないと判断した。

専門知識で来店者を確保

 しかし、ただ単に商品を安くしただけでは、パソコンマニアや上級者が来店するだけで、自作パソコン初心者であるパソコン中級者や初級者などの購入にはつながりにくい。新規顧客として確実に獲得するためには、「各スタッフが競合店では真似できない専門知識を持ち、パソコン初心者でも分かりやすく説明する」(福嶋店長)という丁寧な接客がポイントになってくる。「パーツコーナーで悩んでいるお客さんを見かけたら、〝何かお探しですか〟と話しかけるなどコミュニケーションをとるようにしている」(同)という。こうした来店者は、「(パソコンマニアが他地域より多い)秋葉原電気街は敷居が高く、地元のショップで自作パソコンのノウハウを聞きたがっている」と考えているからだ。レベルの高い接客により、「自作パソコンの初心者層として、40歳後半の人でも顧客として獲得する」ことにつながる。

 接客については、小田急線本厚木駅前にある大型スーパー「厚木サティ」にテナント出店するソフマップの「ギガストア厚木店」も力を入れはじめた。パソコンおよび関連機器をはじめとして、最近ではDVDレコーダーも扱うことで〝デジタル専門店〟として展開しているが、デジタルAV(音響・映像)機器の取扱品数では、家電量販店に及ばない。しかも、価格面でもヤマダ電機など郊外型ショップに対抗しきれていないために、昨年度まではユーザーが減少するなど厳しい状況に直面していた。

 そこで、「価格が競合店よりも若干高くても、パソコンやAV機器を含めた提案型の接客を追求する」(松橋章仁・店舗営業本部GIGASTORE厚木店長)ことで差別化を図った。

 店内では、DVDレコーダーや液晶プロジェクタ、スピーカーなどを活用したホームシアターコーナーを設置。「ユーザーが目で見て分かりやすい展示を行い、ネットワークメディアプレイヤーを使って、AVパソコンで録画したスポーツ番組などを大画面スクリーンで視聴できるなどといった提案も行っている」(松橋店長)という。提案型の店作りや接客が功を奏し、平日に主婦を中心に1000人、休日には家族連れなど2000人以上が来店するようになった。(佐相彰彦)
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