秋葉原物語

<秋葉原物語>[第2部 エボリューション]19.情報交換を密に

2005/03/14 16:51

週刊BCN 2005年03月14日vol.1080掲載

 エヌ・ティ・ティ都市開発(NTT都市開発)とダイビル、鹿島の3社が設立したクロスフィールドマネジメントは、JR秋葉原駅前の超高層ビル「秋葉原クロスフィールド」の運営会社として入居テナントをサポートするだけでなく、秋葉原地区の活性化を視野に入れたビジネスも積極的に行っていく。秋葉原クロスフィールドの1つ、「秋葉原ダイビル」のオープン前の現段階では、「関係団体との連携を深め、密に情報を取り合っている」(山本俊行・ゼネラルマネージャー)状況だ。

 関係団体と情報交換しているなかで、周囲は「(秋葉原クロスフィールドの)入居テナントとの連携が図れるかどうか」(団体関係者)に多大な関心を寄せている。秋葉原電気街振興会は、「電気街をエレクトロニクスで再び復活させるには、単に商品を仕入れて売るという小売機能だけでは難しい。ユーザーが、“この街に来るとワクワクする”と思うような店舗作りなど、他の地域で真似できない商売を行わなければならない」(小野一志会長=オノデン社長)という緊張感を持っている。クロスフィールドマネジメントでは、「秋葉原ダイビルのオープン後は、関係団体から出てきた声をできるだけ反映していく」(山本ゼネラルマネージャー)方針だ。

 実現の可能性が高いのは、「ショップで実証実験を行うこと」(同)。

 例えば、入居テナントが開発したICタグシステムを秋葉原のショップが活用し、来店したユーザーに体験してもらう。1つ1つの商品にタグを貼付し、読み取り機に商品をかざせば、その商品がどのような機能を持っているかを説明できるようにする。

 さらに、組立パソコン用パーツ専門店に設置する場合は、自作パソコン用に各パーツの互換性を調べることにも使えるようにする。秋葉原クロスフィールドの本格稼働で、パソコンユーザー以外の来訪者が増える可能性が出てくるため、自作ユーザー以外に“来店の敷居が高い”と思われがちなパーツショップに気軽に立ち寄れる環境を整えるというわけだ。

 山本ゼネラルマネージャーは、「最近の電気街は、エレクトロニクスの色や、フィギュアやアニメなどのエンターテインメントの色、深夜営業など、さまざまな要素を持っている。しかも、新しい文化が入っても、昔の文化が廃れないところに魅力がある」と秋葉原の良さに注目する。家電やパソコンの小売りとは違った“エレクトロニクスの色”を加えることも街の活性化には必要になる。(佐相彰彦)
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