秋葉原物語

<秋葉原物語>[第3部 ムーブメント]26.IT人材の育成も

2005/05/02 16:51

週刊BCN 2005年05月02日vol.1087掲載

 秋葉原地区周辺で中小企業を対象にIT人材を育成する動きが出ている。秋葉原のブランド力を生かして、ITを支える人材の供給基地の役目も担うという。

 ITコーディネータ(ITC)や中小企業診断士などが中心となり、任意団体のITC秋葉原(石井武会長)がこのほど設立された。ITC秋葉原では、中小企業のIT化を促進することや、企業内にCIO(最高情報責任者)を育成することを目的として、千代田区を中心に周辺地区でITに関するセミナーや講座などの実施に積極的に取り組んでいる。賛助会員として、人材育成サービス事業を手がけているエフ・ジェイ・ビー・エージェントや、親会社である富士通ビジネスシステムなどIT企業が支援している。

 具体的な取り組みについては、今年2月5日にIT活用経営促進セミナーと相談会を実施した。同セミナーには、IT経営応援隊事業を手がける経済産業省も協賛し、中小企業のITスキルアップに向けた支援を行ったという。

 今年4月には、IT人材育成講座を開講。1講座あたりの定員は20人程度と、通常開催のIT講座より少ない人数に抑え、ITスキルが高い人材に育成することを徹底している。ほかには、ITインフラ整備を強化する支援サービスとして、ITCによる情報化企画コンサルティングも手がける。

 「千代田研究会」という千代田区を中心に中小企業の経営を支援する中小企業診断士の集まりもある。最近では、社内システム構築の提案からウェブビジネスや社内データを活用したビジネス拡大の提案など、中小企業を支援する際にITを絡めたアドバイスが欠かせないという。5月11日の会合では、「ITC秋葉原が目指すこと」と題し、ITC秋葉原の石井会長が講師となり、地域中小企業のIT化を目指すための戦略展開を指南する。

 秋葉原地区が世界のIT拠点となるためには、駅前再開発区域のIT企業や大学などが最新技術の開発に向けた研究を行っていくことが最重要課題といえるが、周辺地域の中小企業を中心にIT化を推進することも必要になってくるといえよう。

 駅前の超高層ビル群「秋葉原クロスフィールド」を運営するクロスフィールドマネジメントでは、「秋葉原ダイビル」がオープンし、当面は産学連携フロア内にテナント入居する企業と大学の連携に力を注ぐ。しかし、近い将来には秋葉原地区に関係する団体との連携を図っていきたい意向だ。秋葉原クロスフィールドとITC秋葉原、千代田研究会などが連携し、中小企業支援のためのプロジェクトを組むことも考えられる。(佐相彰彦)
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