全国ショップ激戦図

<全国ショップ激戦図>80.埼玉県越谷市(下)

2005/06/13 18:45

週刊BCN 2005年06月13日vol.1092掲載

 埼玉県越谷市は、国道4号線および国道16号線沿いにパソコン専門店や家電量販店が密集しており、関東地区のなかでも激しいマーケットシェア争いが繰り広げられている地区の1つとなっている。こうした激戦区で勝ち抜くためには、どのような競合店との差別化策を見い出せるかにかかってくる。

複合展開が競合との差別化に

 越谷市でマーケットシェアが高いのは、低価格と大型店舗を武器とするヤマダ電機。これに追随しようと、コジマが店舗の大型リニューアルとドミナント戦略で対抗している。そんななか、コジマのようにヤマダ電機に真っ向から対抗せずに、着実に知名度を上げてきたのがギガスケーズデンキだ。

 国道4号バイパスに店舗がある「ケーズデンキ越谷パワフル館」は、玩具量販店の「トイザらス」やスーパー「タジマ」、写真館「スタジオ・アリス」との複合店舗展開で20-30歳代のファミリーから60歳以上の高齢者まで幅広い年齢層を顧客として獲得している。

 越谷パワフル館は、同社にとって小規模店舗に位置付けられる。競合店と比べても売り場面積が小さく品揃えも少ない。しかし、パソコンおよび関連機器に関してはAV(音響・映像)機能搭載のデスクトップパソコンを中心に売れ筋モデルに絞った販売を行い安定した利益を確保している。店の入口近くには、デジタルカメラとコンパクトフォトプリンタを展示し、子供のいる家族や女性層の来店を狙っている。健康器具売り場では、高齢者のリピーターを増やすためにマッサージチェアのデモ機を用意。健康器具のデモコーナーを設けることで、体験者がマッサージチェアを購入する率が高くなるという。

 また、同じフロアにあるスーパーのタジマに食料品の買い物に訪れた主婦が、電球など消耗品を購入するというのも当たり前の光景だ。トイザらスや写真館に来店した小さな子供連れのファミリーや孫を連れた高齢者が訪れるという効果も出ているようだ。

 大型駐車場を完備している郊外店は、近くの住民が車で気軽に訪れることができるのがメリットである一方、1店だけの展開は駅ビルや百貨店などが密集する駅前店とは異なる。例えば1キロメートルも離れている大型書店や大型アパレルショップなどに買い物に訪れた人が、その足で家電量販店にも行くというケースは実際問題として少ない。

 ところが、さまざまな店が隣接する複合店は、郊外店でありながら、駅前店の利点も発揮できることが特徴だ。小型店であっても、品揃えと企画力で大型店と十分に対抗できる力を備えることになる。(佐相彰彦)
  • 1