店頭流通
台湾ベンキュー デジタル総合メーカーに飛躍 ワールドワイドビジネスを拡大
2005/06/13 16:51
週刊BCN 2005年06月13日vol.1092掲載
「eホーム」の実現を追求

ベンキューは、本拠地である台湾市場でのシェアを伸ばすことに加え、ワールドワイドでのビジネス拡大を加速している。台湾だけでなく世界約80か国でディストリビュータを獲得しており、2次代理店を含め約7万6000社のパートナーを確保した。
同社では、世界でのブランド力を強化するために台湾や米国、欧州などに加え、主力となる地域を増やすことがカギを握ると判断。リー会長兼CEOは、「デジタル機器需要のポテンシャルが高く、将来的に形になる“イマージングカントリー(急速に市場が拡大する国)”にフォーカスする」ことを打ち出している。ターゲットとする国は中国やロシア、タイ、インドなど。「こうした国は、米国や欧州、日本などの地域よりもひときわ強い競合がいるわけではない」(リー会長兼CEO)とし、これら“イマージングカントリー”でトップシェアを獲得し、大きなビジネスにつなげることを狙う。こうした国では「さまざまな製品を発売してチャレンジしていく」(リー会長兼CEO)考えだ。

■デジタルを“つなぐ”
同社が掲げるコンセプトは、「エンジョイメント・イン・ア・コネクテッド・ワールド」。パソコン周辺機器とAV関連機器がつながり、モバイル端末が家庭内のデジタル機器にアクセスできることで、“デジタルライフの楽しさ”をユーザーに訴えることが主眼だ。
こうした点から、パソコン周辺機器メーカーから脱却し、液晶モニタやプロジェクタなどの拡販を図っている。最近では液晶テレビやデジタルカメラ、携帯電話、MP3プレーヤーなどの開発を進めてきた。リー会長兼CEOは、「1つの製品に蓄積されているコンテンツやデータなどの情報を各製品にシェアできるようにする。これによってユーザーのデジタルライフを快適なものにする」と語る。
さらに、競合との差別化策として徹底しているのはデザイン面だ。R&D(研究・開発)センターを構えているほか、デザインセンターを設置。ジェリー・ワンCMO(最高マーケティング責任者)は、「拡販するうえで重要なのは、デジタル機器を最適に活用できるデザインに仕上げられるかどうか」と話す。
ユーザーのデジタルライフを快適にするには付加価値機能が必要であるものの、デザインにもこだわることで、デジタル機器を活用することが楽しいとユーザーに意識させなければならないとアピールする。
パソコン周辺機器を主力ビジネスとして手がけてきた同社が、“デジタル機器をつなぐ”ことを主軸にビジネス領域を拡げたことになる。
■上位機種に需要が集中

2004年度(04年12月期)の売上高は、ベンキュー単独で49億ドル(約5300億円)となり、グループ10社の連結では105億ドル(約1兆1367億円)と、100億ドルの大台を突破した。これを08年度には、単独で100億ドル(約1兆826億円)、連結では200億ドル(約2兆1652円)突破を目指している。デジタル総合メーカーとして製品ラインアップの充実やワールドワイドでビジネス地域を拡げることで、中期的に売上高を達成できるかどうか、腕の見せどころといえそうだ。
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