店頭流通

パソコンメーカー7社 2006年のキーワードは“デジタルネットワーク” パソコンと情報家電の連携が加速

2006/01/23 16:51

週刊BCN 2006年01月23日vol.1122掲載

 主要パソコンメーカー各社は、2006年のキーワードに〝デジタルネットワーク〟を掲げてパソコン拡販を加速させる。個人市場では、地上デジタルチューナーを搭載したAV(音響・映像)機能付きパソコンのラインアップを強化。法人ユーザー向けには、セキュリティや堅牢性などを訴えることでリプレース需要を掘り起こしていく考えだ。

 日本コンピュータシステム販売店協会(JCSSA)がこのほど開催した新春セミナーで、主要パソコンメーカーの幹部が「2006年我が社のデジタル・ネットワーク戦略」と題して特別講演を行った。登場したメーカーは、東芝、レノボ・ジャパン、NEC、日本ヒューレット・パッカード(日本HP)、富士通、アップルコンピュータ、ソニーの7社。各メーカーとも、パソコンを中心にさまざまな周辺機器がつながる市場拡大の可能性に向けた戦略を打ち出した。

 東芝は、「06年は、ノートパソコンのステージが変わることになる」(能仲久嗣・執行役上席常務PC&ネットワーク社社長)とし、「デジタル化の加速で、コンテンツを個人で楽しむ傾向が高まる。そこで、ニーズが高まってくるのは、(デスクトップではなく)ノートパソコンである」と断言。個人向けモデルでは、「コスミオ」シリーズで、世界初の地上デジタルテレビチューナーとフルHD液晶を搭載した17インチの「G30」3モデルを2月下旬に発売する。同社は、05年の国内個人向けノートパソコンの販売ではトップシェアを獲得したものの、法人市場を含めたノートパソコン市場で2位だったという。「今年こそはトップシェアを獲得する」(同)と自信をみせており、デジタル放送対応モデルの投入がシェア拡大に向けた試金石となりそうだ。

 レノボ・ジャパンは昨年5月に設立し、「大きな成果を出せた」(向井宏之社長)とアピール。「日本アイ・ビー・エム(IBM)時代と変わらないという意味で、昨年は“ノーチェンジ”をキーワードにしてきたが、今年は“チェンジ・イノベーション”を前面的に打ち出していく」方針。具体的には、新テクノロジーを駆使した商品の市場投入スピードを早め、販売パートナーが売りやすく、顧客企業が買いやすい環境を整えていく。

 NECは、「商品力、スピード、CS(顧客満足度)ともにトップを維持する」(片山徹・執行役員専務)ことを掲げ、製造工程で導入したRFIDシステムを、「調達や出荷でも最大限に活用する」としている。個人向けパソコンに付加する周辺機器については、パソコンで保有する映像データを移行できるマルチメディアプレイヤーを発売する予定だ。

 日本HPは、プライスパフォーマンスを追求した低価格戦略を引き続き踏襲することに加え、「今年は、サーバーやパソコンなどのハードウェアに周辺機器やソフトなどオプションを付けることで1案件あたりの単価を引き上げる」(馬場真・副社長)策を講じる。

 富士通は、セキュリティの観点から指紋センサー機能を搭載したタブレットPCの発売でモビリティを追求するほか、「今後は手のひら認証をデスクトップに搭載することでネットワークシステムを提供していく」(山本正己・経営執行役パーソナルビジネス本部長)としている。

 アップルコンピュータでは、主力製品の携帯型デジタルオーディオプレイヤー「iPod」が、「40-60歳代のパソコンユーザーにCDやMD代わりに使われるなどデジタルデバイドを埋める製品となってきた」(山元賢治・代表取締役)と指摘。加えて、今年はインテルのマイクロプロセッサ「コアデュオ」を搭載した新しい「マック」シリーズを武器に、「パソコンビジネスを復活させる」(同)と意欲を燃やす。

 ソニーは、「HD(ハイビジョンディフィニション)時代が本格的に到来した」(石田佳久・VAIO事業部門長)とし、「パソコン『バイオ』が最も強い部分であるHDを『撮る、作る、見る、つなげる』といったテクノロジーの“進化”の追求と、使いやすいアプリケーションソフトを搭載するなど“深化”を追求していく」(同)ことで存在感をアピールしていく考えだ。
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