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BCN AWARD 2006表彰式を開催

2006/02/06 16:51

週刊BCN 2006年02月06日vol.1124掲載

 BCNは、1月27日、東京・青山ダイヤモンドホールにおいて、「BCN AWARD 2006」の表彰式を開催した。今回から、「BCN AWARD」と併せて、技術系の優秀な作品を発表した学生たちを表彰する「ITジュニア賞」を創設。初回は全国高等専門学校が主催する「プログラミングコンテスト」の優秀校など4校が選ばれた。

「ITジュニア賞」も今年から創設

 ITジュニア賞表彰式に臨んで、BCN社長の奥田喜久男は、「プロの技術者と若者たちが、モノづくりにかける夢と情熱を共有できる場にしたい」として、創設の理由を語った。

 「ここ数年、パソコン業界は収益があがらず、閉塞感を感じざるを得ない状況になっていた。この閉塞感を破るものは優れた商品しかない。そして優れた商品をつくるには、優れた技術が欠かせない。昨年もこの席でベンダーのトップの皆様に、会社に帰ったら開発者の方に『BCN AWARD』の表彰トロフィーを渡して、ほめてあげてくださいというお話をした。今後、日本の優れた技術を継承していくためにも、次の時代に夢をもった子供たちにモノづくりの情熱を伝え、IT業界を支えてもらわなければならない。それを実現するために、ITジュニア賞という賞を新設することとした」

 第1回のITジュニア賞に選ばれたのは、津山工業高等専門学校、鳥羽商船高等専門学校、宇部工業高等専門学校、和歌山県立田辺工業高等学校の4校。受賞理由となった作品についてそれぞれがプレゼンテーションを行った。

 和歌山県立田辺工業高等学校情報システム科3年の湯川明日加さん、同2年生の射場美咲紀さんは、自分たちが作成した3Dアニメーションや、女子生徒だけで制作に取り組んだというEVカーなど、自分たちが日頃取り組んでいる内容をプレゼンテーショで紹介。見るのはあっという間の3Dアニメは、「ひとつのアニメを作るのに20時間かかりました」(湯川さん)と慣れない作業に懸命に取り組んだことをうかがわせた。 

 2校目として、「第16回プログラミングコンテスト」で最優秀賞と文部大臣賞を受賞した鳥羽商船高等専門学校の制御情報工学科5年の辻井祥子さん、木下玲子さん、上村直也さんが「お洗濯とりこMail」を発表。これは外出している間も安心して洗濯物を干していられるように、雨が降れば自動的に洗濯物を取り込み、雨が上がれば再び干すといった便利なシステム。

 洗濯干し場の映像を画像として記録し、携帯電話などに送る機能もついていて、「不審者が現れるなど異変が起これば察知して画像で知らせる。防犯システムとしても活用できます」(辻井さん)。女性らしい発想から生まれた新しいホームソリューションだ。

 3校目となる宇部工業高等専門学校機械工学科5年の木村昌樹さんが発表したのは、「3D─Mouse ─高次元型新世代ワーキングマウス」。寮生活を送る木村さんが「みかんをつかんだ時に思いついた」という作品で、全国高等専門学校の第16回プログラミングコンテストの自由部門審査員特別賞を受賞。この作品に対しては、AWARDのマウス部門で最優秀賞を受賞したエレコムの葉田順治社長が、「来年もAWARDでナンバー1をと考えていたが、オチオチしていると木村君が会社を設立して、うちの会社が苦しくなるなんてこともあるかも…」とエールを送る場面もあった。

 最後に津山工業高等専門学校情報工学科5年の井上恭輔さんが「Antwave ─超次元コラボレーションブラウザー」を発表。第16回プロコン自由部門で最優秀賞と文部科学大臣賞を受賞した作品で、エクストラリンクによってインターネット上に誰かが通った道、いわば“けもの道”を作り、その道筋によって人の流れを感じて、人がいる方に向かうことを実現したシステムで、「誰かを感じる、暖かみのあるネット社会を作りたい」(井上さん)。

 長野工業高等専門学校の堀内征治副校長によれば、「10数年前は、高専に通う生徒はみんなプレゼンテーションベタだった」というが現在の学生諸氏はいずれもプレゼン上手。来場者も感心した様子で聞き入っていた。

 後半はAWARD2006受賞社の表彰式に移り、各賞の受賞者がトロフィーを受け取った。6部門での受賞となったエレコム・葉田順治社長が受賞者を代表して挨拶。

 「ITのように成長を続ける産業はほかにないのではないか。『BCN AWARD』も今年が7回目となり、年々発展している。『BCN AWARD』の社会的な影響力は大きいが、その事実を主催するBCNさん自身が気づいていないのではないか」とコメント。会場から笑い声が起こる場面もあった。

 データを提供する販売店の代表としては、エイデンの岡嶋昇一社長が挨拶を行い、「去年1年間のIT関係の商品は物足りなかったというのが正直なところ。今年は、メーカーの皆さんに付加価値の高い商品を開発してもらって、少し出遅れていたIT機器の売り上げが元気になることを期待したい」と受賞社各社に要望を送った。

 受賞社のなかには、日本中がその手腕を注視するライブドア新社長の弥生・平松庚三社長の姿もあった。当日、フジテレビ・日枝久会長との会談を終わらせた後、分刻みのスケジュールを縫って、AWARDの授賞式に駆けつけた。顔見知りの受賞メンバーから激励の言葉が相次ぎ、当初は予定にはなかったものの、懇親会の会場で壇上に登場。「3日前にはこんなことになるとは思ってもいなかった。ここ数日、笑うということが全くできない状況に置かれてきたが、この会場に着いて、皆さんの顔を見てようやく笑うことができた」と語り、大きな拍手を浴びていた。
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