臨界点

クリエイティブメディア 営業部 リテールセールスマネージャー 牧野秀文

2006/12/11 18:45

週刊BCN 2006年12月11日vol.1166掲載

 サウンド関連ボード市場でのクリエティブメディアの地位は揺るぎない。BCNランキングでは7年連続でトップに君臨する。今年も10月末までの集計値で2位に20ポイントもの差をつけて、独走する。その勝因と、音にこだわるクリエイティブメディアの開発・販売スタイルを聞く。 木村剛士 取材/文 馬場磨貴 写真

音質にこだわる製品開発で トップメーカーの地位を堅持

 ――BCNランキングの「サウンド関連ボード」では6年連続、「マルチメディアカード」部門の時から数えれば7年連続でトップを独走する。勝因は何か。

 「7年前からトップメーカーとの認識だ。音に対するこだわりが評価されている証だろう。音源関連製品の豊富なラインアップを揃えていることで、『高音質製品はクリエイティブメディア』とイメージしてもらえることも大きな要素だ。サウンドボードだけでなく、ヘッドフォンやスピーカ、携帯デジタルオーディオプレイヤーなど手がけるジャンルは幅広い」

 ――PCで高音質を楽しむユーザーは少数派との印象だ。市場は広がっているのか。

 「音にこだわりをもつユーザーだけではない。たとえば、最近ではレコードやテープ、MDに録音した楽曲をデジタル化したいというニーズが強い。レコードに親しみがある年配者が当社製品を購入するケースも増えた。高音質を楽しみたいユーザーが顧客の中心なのは確かだが、客層は多様化してきた。使いやすく分かりやすい製品づくりも開発ポイントになっている」

 ――最近のヒット商品は。

 「今年10月に発売した音質変換機器『Creative Xmod』がある。MP3形式のデータを高音質に変換するための装置だ。MP3はデータを圧縮することで容量を小さくすると、音質が損なわれてしまう。この短所に着目した商品で、圧縮前と同じ音質レベルを予測・計算して再現する。PCだけでなく携帯型MP3プレイヤーに接続して楽しむこともできる。Xmodには、当社が昨年開発した新プロセッサを搭載しており、簡単にまねできないテクノロジーが入っている。まだ発売して間もなく、売り場も一部の家電量販店に絞って展開していたにもかかわらず、販売は計画値以上に伸びている」

 ――一方で、携帯デジタルオーディオプレイヤー市場では「iPod」の勢いが止まらない。厳しい環境だが。

 「確かに厳しい状況ではある。撤退した企業も少なくない。主要な海外メーカーでいえば、残っているのは当社くらいではないだろうか。ただ、チャンスがある市場だと思っている。携帯デジタルオーディオプレイヤーが爆発的に普及した現在、今後は買い換え需要が出てくる。その時、消費者のニーズは多様化するだろう。高音質を求めるユーザーも増え、音にこだわるクリエイティブメディアの優位性が発揮できる状況になる。まだまだこれからだ」

 ――販売方法は多様化するか。家電やPC周辺機器はネット通販での販売が伸びているが。

 「店頭での販売はこれまでと同様に強化する。ただ、ネット通販も無視できない。そのため、今年6月下旬にオンラインストアをオープンした。アクセサリー品や専用の付属品は店頭で置いていない場合も多い。店頭で販売している製品ももちろんオンラインで販売するが、店頭にない商品を購入しやすくする狙いもある」

DATA FILE
■7年連続トップが視野に

 図はBCNランキング「サウンド関連ボード」の今年1月から10月末までの販売台数をもとに、メーカー別台数シェアを示した。クリエイティブメディアのシェアは38.2%でトップ。2位のオンキヨーに24.6ポイントの差をつける。年間の販売台数でトップシェアを獲る可能性が高い。実現すれば、サウンド関連ボード部門がマルチメディア部門だった2000年から7年連続のトップになる。

 直近の週次データ(11月20-26日)でも、メーカーシェアは46.3%でトップ。製品別シェアでは、1位と2位を含め5製品がランクインしている。製品別シェア9.8%で首位にあるのは、「Sound Blaster 5.1」。PCに組み込む製品で、PCから流れるデータを高音質に変換する。「Sound Blaster」シリーズのエントリーモデルに位置づけられる。

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