店頭流通

Vista発売でPC市場は回復するか 利用環境の変化促す メーカーシェアにも影響

2007/02/12 16:51

週刊BCN 2007年02月12日vol.1174掲載

 PC業界は、1月30日のWindowsVistaの発売によって、息を吹き返そうとしている。1月30日までの状況は、PC業界にとっては極めて深刻な状況ともいえ、2-3月の需要回復に期待を寄せるメーカー、販売店も少なくない。果たして、Vista発売をテコにPC需要は上向くのだろうか。

 BCNランキングによると、昨年12月までのPC市場低迷の深刻ぶりが明確に伝わってくる。

 デスクトップとノートを合わせたPC販売台数は、昨年2月に前年同月比9.3%減とマイナス成長に陥って以来、11か月連続で低迷を続けている。

 年末商戦の最盛期だった12月も18.6%減と苦戦し、デジタル家電売り場の喧噪ぶりとは対照的に、PC売り場は精彩を欠いた。

 業界筋では、個人消費の分散による影響、年末に向けて投入されるはずの新製品が1月にずれ込んだこと、薄型テレビの需要増に押されたことなどをPC需要の低迷理由としてあげているが、最大の要因は、やはりVista発売前の買い控えだ。

 量販店では、年末商戦でVistaへの乗り換え促進キャンペーンを実施することで、VistaCapablePCを訴求してきたが、大きな成果をあげたとはいえなかった。

 だが、1月にはWindowsXP搭載モデルが低価格で販売されるという動きがあり、さらにはWindowsXPHomeEditionのサポート期間が2014年4月まで延長されたことにより、XP搭載モデルの在庫処分には有利に働いた。富士通では、「年末から出荷数量を絞り込んだこともあって、XP搭載モデルの店頭在庫はほぼゼロに近くなっている。その点では、Vistaモデルへのスムーズな移行が可能になる」と語る。

 各社ともWindowsXP搭載モデルの店頭在庫は、ほぼ無くなりつつある段階のようで、その点での足かせはないといえるだろう。

 1月15日には、18社から247機種のVista搭載の新製品が発表され、31日から順次、出荷が開始されている。

 「世界的にみても、日本で発売された製品はユニークなものばかりだ。Vistaによる需要拡大に期待したい。また、春から夏にかけても様々なイノベーションを実現するハードウェアが登場することになるだろう」(マイクロソフトWindows本部のジェイ・ジェイミソン本部長)と、継続的な成長に期待を寄せる。

 マイクロソフトでは、個人向けにはHomePremiumEditionが主軸になると考えており、最上位のUltimateを含めて過半数を占めると予測した。そのため、リビングでの利用訴求も顕著になってくるだろう。また、Vistaのサイドバー機能を生かしたワイドスクリーンを搭載したノートPCの売れ行き拡大も注目されている。

 06年のメーカーシェアは、ノートPCでは、東芝が念願のトップシェアを獲得。デスクトップでは、NECが連続トップシェアを維持した。07年は、Vistaによってメーカー戦略も変わることになる。これがシェアにどう影響するのか注目したい。
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