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富士通、PCで世界イベント特需を今度こそ獲得へ

2008/05/26 18:45

週刊BCN 2008年05月26日vol.1236掲載

 「今年は北京五輪。過去のようなミスはしない」。富士通の三竹兼司・パーソナルビジネス本部長代理はこう決意する。というのも、前回の五輪では需要を薄型テレビやDVDレコーダーなどデジタルAV(音響・映像)機器にさらわれてしまったからだ。

パソコンの新しい用途を提案

―富士通 パーソナルビジネス本部 三竹兼司 本部長代理(マーケティング担当)

 パソコンメーカーは、五輪に限らずスポーツイベント時にデジタルAV機器メーカーに負けている。2002年6月のサッカーワールドカップ日韓大会。薄型テレビやDVDレコーダーの市場が一気に花開いた。一方、この時期のパソコン商戦は盛り上がりに欠けた。

 次がアテネ五輪。パソコンメーカー各社は、映像ニーズを奪うために思い切った戦略に出ていた。「1台のパソコンでテレビとDVDレコーダー両方の役割を果たす」などといったキャッチフレーズで、AV機能付きパソコン(テレパソ)を発売していたのだ。ところが消費者は、大画面化が進み、パソコンと比較して操作の簡便性で圧倒的に優位に立つ薄型テレビを気に入った。二度目の敗北を喫したのだ。


 06年のワールドカップ独大会では、テレパソでの視聴をリビングで楽しむことを訴えた。しかし、液晶1インチあたりの低価格化が進行、薄型テレビの売価下落から、またしても需要はデジタルAV機器に。“三度目の正直”が叶わなかったわけだ。

 四度目となる今回の北京五輪。「薄型テレビと競争することがはたして良策なのか。むしろ、共存することが最適ではないか」。そう判断し、アピールしていくのが薄型テレビとつながる「FMV-TEO」シリーズ。6月には新製品を発売する予定だ。

 「FMV-TEO」は、薄型テレビでネット配信の動画コンテンツ視聴や、テレビ番組を見ながらネット検索、地上デジタル放送の録画を可能とする製品。対応テレビは、パナソニック製PDP(プラズマディスプレイパネル)「ビエラ」シリーズとなる。標準添付されているリモコンでパソコンとテレビの操作も行える。「パソコンの新しい使い方を提案する」──間近に迫る商戦で、このことをアピールしていく。(BCN・佐相彰彦)
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外部リンク

富士通=http://jp.fujitsu.com/