店頭流通
デジカメ市場 1000万画素モデルが5割目前 コンパクト部門で高画素が急増
2008/07/14 16:51
週刊BCN 2008年07月14日vol.1243掲載
松下が春先から好調、シェア首位に
コンパクトデジタルカメラで5月の機種別販売台数シェアトップ10をみると、1位が松下電器産業の「LUMIX FX35」でシェア10.1%。2位のオリンパス「μ1020」は5.6%。2-3%台のシェアで大混戦のコンパクトデジカメ市場では、この2モデルが頭1つリードしている状況。いずれも今春投入されたモデルだ。1位の「LUMIX FX35」は、有効1010万画素のCCDを搭載するほか、広角25mmからの光学4倍ズームレンズを備え、手ブレ補正などにも対応。厚さ22mmとコンパクトながら、多機能さが特徴だ。一方、2位の「μ1020」は、1010万画素CCDと光学7倍ズームレンズを搭載した薄型モデル。2.7インチの液晶モニタを備える。液晶画面を見ながらガイド通りにカメラを移動するだけで、パノラマ撮影ができる「カメラ内パノラマ合成」機能も搭載する。これら2製品は3月以降、常に月間販売台数シェアの1、2位を維持しており、安定した人気を集めている。特に「LUMIX FX35」は毎月2ケタのシェアを獲得。これにより、メーカーの勢力図にも変化が起きている。
07年12月時点で松下のシェアは13%で3位。4位のカシオと接戦を繰り広げつつ、1位のキヤノン、2位のソニーを追いかけていた。その後もほぼ横ばいで推移しながら、各社の春モデルが投入され、商戦期となった3月から一気にシェアを7%近く伸ばしている。他社のシェアが大きな変化を見せないなかで松下の躍進が目立つ形となった。
好調要因はやはり「価格」
上記の月間ランキングで取り上げた2製品に共通するのは、いずれも1000万画素クラスのCCDを搭載する点だ。これまでコンパクトデジタルカメラの売れ筋の画素数は、600-800万画素クラス。07年5月時点での販売台数構成比では78.6%と8割近くを占めていた。ところが、この1年間の画素数別販売台数構成比の推移を見ると、1年前までは1割にも満たなかった1000万画素クラスが徐々に増え、直近では 48.7%まで上昇。市場の半分に迫る勢いだ。800-1000万画素クラスも昨年より増加し、1年前までの主流だった600-800万画素クラスを完全に追い抜いた。
コンパクトデジタルカメラの高画質化の流れが顕著になったのは、07年後半。各社が競って1000万画素を超える新製品を投入し、高画質化の波がくるかと思われた。しかし、この時点で1000万画素クラスの構成比に変化は見られず、売れ筋となっていたのは800-1000万画素クラスだった。そのため、各社とも一旦は画素数ではなく、基本機能の強化やデザイン性など、付加価値を高めることで差別化を図る方向にシフトしていくかに思われた。
しかし、この春から1000万画素クラスの人気が急増。画素数別の販売台数構成比では、各社が春モデルを投入した3月に同クラスのシェアが36.3%と初めて3割を突破した。この勢いはその後も衰えることなく続いているが、その要因はやはり価格にあるようだ。
07年5月時点で、1000万画素以上のモデルの税別平均単価は3万6243円。08年5月では3万509円になり、この間に約6000円下落した。一方、コンパクトデジタルカメラ全体での平均価格を見てみると、07年5月時点で2万8574円だったものが、08年5月で2万6431円と、わずか2000円の下落にとどまっている。
1000万画素モデルが、3万円前後という値ごろ感ある価格帯に突入したことで、シフトが一気に進んでいるといえそうだ。とはいえ、画素数競争には限界が見え始めている。「1000万画素もあれば、もう解像度は十分」という声も多い。最近では手ブレ補正も顔認識もほぼ標準機能となった。わかりやすくて魅力のある「次」の機能が求められている。各社のアイデアと開発力に期待したい。(山田五大)
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