店頭流通

停電に弱い機器もこれで安心 好調な売れ行き「無停電電源装置」 「ゲリラ豪雨」が購入を後押し

2008/11/24 16:51

週刊BCN 2008年11月24日vol.1261掲載

雷対策としての購入が多い

 突然停電したりブレーカーが落ちたりして、作業中のデータが消えてしまった……という経験はないだろうか。そんな時に役立つのが「無停電電源装置(UPS)」だ。サーバー向けなど大掛かりなものだけでなく、個人ユースのUPSの販売も好調だ。特に今年の夏は、「ゲリラ豪雨」による停電や雷の被害が多かったことから8-9月にUPSの販売台数が伸びた。UPSについて説明しながら「BCNランキング」によって直近の売れ筋モデルを紹介しよう。


正常にシャットダウンできる装置

 万一、停電などの異常が発生しても一定時間は停電することなく電力を供給し続けるのがUPSだ。一般的には、電力供給をストップできない機器を扱う業務用というイメージが強いが、家庭でもパソコンやレコーダー、ゲーム専用機などにUPSを使うケースが増えている。停電によって機器の電源が突然切断された場合、データの消失や機器の損傷を引き起こしてしまうことがあるからだ。

 UPSに接続しておけば、停電しても機器に一定時間、電力を供給することが可能になる。電力を供給できる時間は機器の電源容量によって異なるが、個人向けUPSの多くは3-30分程度の短時間であるものが多い。UPSはあくまで短時間の電力供給が目的だが、この間に機器の電源を手動で正常に終了させることで停電による機器の損傷やデータの消失を防ぐことができる。接続する機器がパソコンの場合は、停電時に自動でパソコンをシャットダウンできるソフトを付属する製品もある。価格は、個人向けのUPSであれば1万円以下で購入できるものが多い。

雷のトラブルにも役立つ

 UPSの主な機能は停電時の短時間の電力供給だが、雷のトラブルを防ぐ機能がついた製品もある。雷によって瞬間的に過電圧や過電流が発生することがある。それがコンセントを経由して通常より多くの電流が機器に流れ込み、データを破壊するなどの被害をもたらす危険性が高い。こうした被害を防ぐ機能を内蔵する製品も多く、雷対策にもなる。

 今年の夏は各地で突発的な豪雨や落雷を伴う「ゲリラ豪雨」による被害が相次いだ。この影響で8-9月にかけてのUPSの伸び率を見ると前年実績を上回っており、雷による被害対策として購入した人が多かったようだ。

売れているのはどんなタイプ?

 2008年9月のメーカー別販売台数シェアではAPCとオムロンが市場のほぼ8割を占めている。機種別シェアでも、APC社の製品がトップ4を占めた。1位は「APC ES 500」が24.1%、2位は「SurgeArrest 雷ガードタップ+電源バックアップ」が12.5%、3位は「APC ES 725」が11.4%だった。このなかで、2位の「Surge Arrest 雷ガードタップ+電源バックアップ」は自動シャットダウン機能は付属していない。

 UPSを購入する際には、接続する機器のコンセント総数、電源容量を確認して、最適なモデルを選ぶことが重要だ。そのほか、対応OSや電力供給時間はどれくらいか、自動シャットダウン機能を搭載しているかどうかなども機種により異なるので、事前に確認しておこう。また、意外と忘れがちなのがバッテリーの寿命だ。いざという時にバッテリーが劣化していて使えない……ということにならないように、忘れずにチェックしておこう。

 個人が取り扱うデータが飛躍的に増えているなか、突然の停電で大切なデータが消えたり、高価な機器を壊してしまうトラブルを防ぐ保険として、UPSに注目が集まっている。(岩渕恵)
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