大河原克行のニュースの原点

<大河原克行のニュースの原点>127.Windows Liveの「つながり」の意味

2008/12/22 16:51

週刊BCN 2008年12月22日vol.1265掲載

 マイクロソフトが個人向け総合オンラインサービス「Windows Live」の最新版を開始した。

 これまで同社がWave3と呼んでいたサービスで、無料のオンラインストレージを25GBへと大増強している。全世界で50社以上のSNSなどとの協業を通じて各種ウェブサービスとシームレスな連携を行い、さらにはPCだけにとどまらず各種デジタル機器と連動。「いつでもどこでもつながる」ことを目指しているのが特徴だ。

「つながり」で目指すのは

 言い方を変えれば、同社が提供する個人向けウェブサービスの統合版ともいえる。全世界で3億7500万人(国内520万人)が利用する「Hotmail」、全世界で3億2500万人(国内490万人)が利用する「Windows Live Messenger」、そして、毎月世界中の4億6500万人以上のユーザーに利用され、日本でも月3900万UUに達する「MSN」を、Windows Liveの単一のUIから操作できるようになる。

 なかでも特徴的なのは、新しく追加された「つながり」機能。オンラインストレージに保存した写真の新規登録時や、自分自身のプロフィールやブログを更新した場合に、あらかじめユーザー自身が「つながり」として登録した相手に更新情報を提供。家族、友人、知人などとの情報共有が可能になる。この機能を進化させると、写真をアップロードすると、それが「つながり」登録した相手の携帯電話やデジタルフォトフレームにもリアルタイムで更新されるようになる。

 例えばデジタルフォトフレームを遠く離れた実家に設置しておけば、Liveフォトに写真をアップロードするだけで、自動的に実家のデジタルフォトフレームの写真が最新のものに変更されるようになるというわけだ。まさに「つながり」を実現する機能である。

「込めたもの」が通じるか

 実はマイクロソフトは、この「つながり」という言葉にこだわった。これは、英語版では「ネットワーク」となっている。

 マイクロソフトでは、「ネットワークという言葉からは、ケーブルそのものを想起する人も多いだろう。また多くの人が、この機能の狙いである『人と人とのつながり』を連想できない。そこで、あえて『つながり』という言葉を使った」という。人と人とがつながり、情報をシェアリングする現象を、マイクロソフトは「つながり」という言葉に込めたのだ。

 もうひとつ、Windows Liveでは、「知り合い」という言葉を使った。これは英語版では「People」となっている部分で、ここから「つながる」人を選定することになる。

 「直訳して『人』と表現するのも伝わりにくい。ただ、友人や家族、あるいは仲間という言葉を使うと範囲を限定しすぎる。仲間という親密度はなくても、メールのやりとりをしたり、ブログを共有したい場合もある。『知り合い』という表現は、あまりにも素っ気ないという意見もあったが、幅広い人々を網羅するにはこの表現が最適との結論に至った」

 マイクロソフトがInternet Explorerのブックマーク機能に使った「お気に入り」のように、「つながり」「知り合い」も浸透するのだろうか。これは、Windows Liveが日本に定着したかどうかのバロメータにもなりそうだ。
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