本連載「頂上熱戦」では、2社のIT・家電メーカーに“同じ内容の質問”を投げかけ、その回答を紹介する。(上)では「製品戦略」を、(下)では「販売戦略」を問う。
Question. 販売戦略は?
【共通質問事項】 (1)製品のコンセプトは? (2)ユーザ―ターゲットは? (3)差異化のポイントは? |

(左から)「筆まめVer.20」、「筆ぐるめVer.17」 Answer.クレオ(1)【製品コンセプト】BCN AWARDで10年以上にわたって最優秀賞を受賞しており、一貫してカンタンをキーワードに掲げてきた。今年度は「筆まめ」の発売から20年目ということもあり、インタフェースからマニュアルガイドブックまで含めて一層自信をもってお客様に提案している。
(2)【ターゲット】他社製品に比べてユーザーの年齢層が高い。ただ定期的に実施しているアンケートの結果では、8割のユーザーがメールでも年賀メールを送っていた。そのためVer.20では、プリクラのようなデコレーションができる「プリプリまろんfor筆まめ」や年賀メールが作成できる「携帯用年賀メール」の機能を追加し、お客様の声を製品にダイレクトに反映させた。若者や女性、子供がいる家庭などの層に向けて訴求していくつもりだ。
(3)【差異化】周辺機器メーカーとの協業を進めている。「プリプリまろんfor筆まめ」は、ワコムのタブレットに対応しており、手書きの文字や絵を直接書き込める。またPFUのスキャンスナップを利用すれば、年賀状の両面を自動スキャンし、連続取り込みができる。対応用紙は約3000種類と豊富で、スキャンしたデータは住所録に紐づけて管理が可能だ。そのほか機能面では、お客様の「とにかく簡単につくりたい」という声を吸い上げ、右クリックをするだけで自動的に写真を組み込んだ年賀状を作成する「デジカメ写真デザイナー」の機能を搭載する。家電量販店からの評判は上々だ。

益田俊男 筆まめサービス事業部 コンシューマ営業部部長
Answer.ジャングル(1)【製品コンセプト】たのしく、かんたん、きれいをコンセプトに据え、「新しい、うれしい」という部分を訴求している。
(2)【ターゲット】初心者の方、年配の方をターゲットにしており、その層から好評を得ている。若者向けには、20代と30代をターゲットに「デジタルデラックス筆ぐるめ」を投入した。デジタルカメラの画像取り込み機能を利用することで複数の画像編集が可能となっており、こだわりのデジカメ年賀状が作成できる。
(3)【差異化】「筆ぐるめ」は累計出荷本数が3000万本を超えており、大手PCメーカーには標準でOEMバンドルしている。知名度とリピーター層を獲得しているのが大きな強みであり、差異化につながっている。機能面では、旧漢字フォントを収録しているほか、ナビゲーション機能や動画ガイド機能、レイアウト機能などを実装し、使いやすさがポイントだ。ナビゲーション機能は、マウスポインターが自動的に指し示してくれるもので、画面の手順に従うだけで初めての方も安心してハガキ作成が可能だ。最速5分間でデザインが完成する。
そのほかユーザーから多かった価格面での意見を取り入れ、ラインアップの構成を増やした。低価格化が進むなかで、価格設定が重要だと考えている。寅年にちなみ、寅年用の素材を収録した「筆ぐるめ寅」と「デジタルデラックス筆ぐるめ」を新たに追加した。低価格版を用意することで、より多くのユーザーの取り込みを図っている。

神垣卓矢 ソフトウェア事業本部 営業部部長代理
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