店頭流通

Windows 7が喚起するデスクトップPC需要

2009/12/24 16:51

週刊BCN 2009年12月21日vol.1314掲載

 2009年10月のWindows 7発売以降、デスクトップPCの販売が上向きだ。「BCNランキング」によると、08年11月以降、販売台数が前年同月比を下回る状態が続いていたが、09年10月に102.2%と11か月ぶりに前年を上回ると、11月も108.8%と引き続き好調を維持している。また、販売金額の面でも、11月に前年同月比で105.6%を記録し、08年以降で初めてプラスに転じた。ここにきてデスクトップPCの需要が立ち上がった要因はどこにあるのだろうか。

製品の機能が充実したことも一因に

Windows 7の登場と
各社の新製品投入が起爆剤


 Windows 7が登場して以降、デスクトップPCの販売が伸びていることは家電量販店も肌で感じている。ビックカメラ有楽町店本館でWindowsコーナーを担当する福田亮一主任は「デスクトップPCが伸びている理由の一つとして、Windows 7の発売が挙げられる」と認める。

ビックカメラ有楽町店本館・デスクトップPC売り場のタッチパネルコーナー

 同店では、来店者がWindows 7のマルチタッチ機能に非常に興味を示していることから、デスクトップPC売り場にタッチパネル搭載機種だけを集めたコーナーを設置。店員が実際に製品を操作しながら、タッチ操作の楽しさを伝えている。

 一方で、ユーザーの興味が必ずしも新しいインタフェースだけにあるというわけではなさそうだ。現在、同店で最も人気があるのは、マルチタッチ非対応のソニー「VPCL118FJ」。BDドライブ、2基の地上デジタルチューナー、解像度1920×1080ドットのフルハイビジョン(フルHD)液晶を搭載しながら、価格を抑えたモデルだ。

 この製品に限らず、同店舗ではBDドライブ、地デジチューナー、フルHD液晶を備えたモデルが売れ筋の上位を占める。いままでは一部の上位モデルしか搭載していなかったこれらの機能が、ここにきて20万円を切る普及価格帯のモデルに搭載されだしたことも、消費者の購買意欲を刺激している。

 福田主任も「今までフルHDパネルを搭載する製品は少なかったが、それが手頃な価格で登場したことも、現在デスクトップPCが大きく伸びている理由と言えるだろう」と分析する。


メーカー側も販売増に手ごたえ
地デジ視聴のニーズに合致


 こうした店頭の認識は、メーカーとも共通する。デスクトップPC市場でシェアトップを走るNECでは、NECパーソナルプロダクツの髙須英世社長が「PCのなかでは一体型が好調で、とくにVN770シリーズの人気が高い」と、この秋に発売した新製品に自信を示す。同シリーズは、地デジチューナーやBDドライブ、フルHD液晶を搭載。地デジ機能を搭載していることから「個人の部屋の地デジ視聴機としてのニーズが高まった」ことが背景にあるのではないかと分析している。

 2011年のアナログ放送の停波に向けて、薄型テレビの需要が拡大し、BDレコーダーの認知度も高まってきた。これに伴い、画質向上やBDドライブを搭載したPCが消費者に受け入れられ、PCに対する関心も高まったようだ。

 富士通広報IR室でも、Windows 7の影響によってデスクトップPCの販売が伸びている実感はないという。木村拓哉さんをCMに起用し、目玉ともいえるタッチパネル対応モデルも「多少の影響がある程度」。それよりも、「画面サイズが豊富、地デジ対応など、デスクトップPCとしての性能やラインアップが評価されているのでは」とみている。売れ筋は液晶ディスプレイ一体型の「Fシリーズ」。デザイン性と省スペース、値ごろ感の3点でユーザーの支持を集めている。

OSの快適さが受ける
年末商戦の主役を演じる?


 一方、ソニーではタッチ操作をはじめとしたWindows 7の機能や操作性が、ユーザーに新たなPC体験を提供できると期待する。現在の販売状況に関しては、Windows 7を「Vistaの時とは明らかに違う、久しぶりに明るい話題」であるとし、主力商品である「VAIO“Lシリーズ”を中心に手ごたえを感じている」という。Lシリーズは今期から投入した新モデルで、上位機種では、タッチ操作に対応した24型ワイド液晶を備える。

 ユーザーからは「PCを快適にシームレスに楽しめる」との声があり、製品に加えてOSの快適さが販売好調の理由にあると分析。マルチタッチによる直感的な操作を、実機の体験イベントなどを通じ、新たな付加価値としてユーザーにアピールする考えだ。

 ソニーが体験イベントを実施する理由の一つには、タッチ操作は実際に使ってみないとメリットを感じにくいということがありそうだ。富士通もこの点に関して「今後、対応モデルが普及してタッチ操作の経験者が増えてくれば、それを参考に購入するユーザーも出るのでは」と予想しており、タッチ操作がより一般的になった時には、市場に今以上の需要を生み出す可能性もある。

 「PCは年末に買いたい物の一つとして、依然として人気が高い」(NECパーソナルプロダクツの髙須社長)。タッチ機能を中心とした使用体験をきっかけに、さらなるユーザーニーズを喚起できれば、年末商戦でデスクトップPCが主役の座に躍り出るかもしれない。
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