店頭流通

サンディスク SDXC規格のメモリカード投入 32GB以下の売り上げを伸ばす

2010/04/01 18:45

週刊BCN 2010年03月29日vol.1327掲載

 メモリカードのトップメーカーであるサンディスク(小池淳義社長)は、最大容量を2TBまで拡大したSDカードの次世代規格「SDXC」で、64GBの「サンディスク・ウルトラ・SDXCカード」を近々発売する。ワールドワイドに展開する同社がSDXC規格のカードを投入することで、メーカーが対応のハードを出しやすくするとともに、現時点での最大容量を消費者に示し、その下の16GBと32GBのSDHCカードの売り上げ増を狙う。

転送速度4MB/秒を保証する「CLASS4」の「サンディスク・ウルトラ・SDXCカード」
 SDカード技術の標準化と普及促進活動を行うSDアソシエーション(SDA)は、2009年1月、次世代SDメモリカード規格「SDXC」を発表した。サンディスクは、パナソニックや東芝とともに、SDA設立メンバーの一員である。

 SDXC規格で最大容量を2TBまで拡大した理由について、サンディスク マーケティング部の大木和彦ディレクターは、「今、すべてのデジタル機器で記録容量が増えていく方向にある。メモリカードもその流れに乗り遅れることはできない。コンパクトデジカメでハイビジョンムービーが撮れるし、デジタル一眼でも動画機能は標準になりつつある。2ケタGBのメモリカードでないとハードの機能を十分に生かせない環境のなかで、SDHCカードの最大容量32GBが上限では未来がない」と語る。

 このたび発売する64GBの「サンディスク・ウルトラ・SDXCカード」は、時代の趨勢をにらんだとはいえ、実勢価格5万円前後とかなり高価だ。大木ディレクターは、「実は、64GB製品がたくさん売れるとは思っていない」という。「消費者には、『すぐ時代遅れになってしまうものにお金を使いたくない』という心理と、『最新製品でも、今一番容量の大きいものを買う必要はない』という心理が同時に働く」。つまり、最新規格のSDXCで64GBという現時点での最大容量を提示することで、容量の小さな32/16GBのSDHCカードを選んでもらおうというわけだ。

 2010年は、SDカード系に完全対応していなかったソニーとオリンパスのコンパクトデジカメが、新製品すべてで対応する。大木ディレクターは、「これで、コンパクトからエントリーの一眼レフまでが対応した。SDカードがメモリカードのデファクトスタンダードになった」と語り、「2010年はSDカード元年」と定義する。

 SDXCの普及スピードについて、大木ディレクターは「世界でデジカメを販売しているメーカーにとって、同じく世界で展開する当社がSDXCカードを投入する意味は大きい。11年春までには、デジカメはSDXC対応になる」とみている。しかし、価格がこなれてこないと、消費者はなかなか手に取らない。「価格が下がり、本格的に普及するのは3年後だろう」(大木ディレクター)とイメージしている。(武井美野里)
  • 1