頂上熱戦

【頂上熱戦】「サラウンドシステム」(後編) オンキヨーとヤマハエレクトロニクスマーケティング

2010/06/03 18:45

週刊BCN 2010年05月31日vol.1335掲載

 本連載「頂上熱戦」では、2社のIT・家電メーカーに“同じ内容の質問”を投げかけ、その回答を紹介する。(前編)では「製品戦略」を、(後編)では「販売戦略」を問う。

Question. 販売戦略は?

【共通質問事項】 (1)現在のポジション確立の理由 (2)目指す方向性 (3)サラウンドシステムのこれから



Answer.オンキヨー

山本誓一氏
AVカンパニー
国内営業部
国内マーケティング課
(1)【地位確立の理由】2003年末の地上デジタル放送開始にあわせて、02年に小型ボディで高品質を追求した5.1chの「BASE-V10」を発売。ピュアオーディオよりも低価格で、サラウンドを手軽に楽しむことを提案した。その後、07年には、地デジが全国で視聴できるようになったタイミングで、バーチャル5.1chの「HTX-11」を発売。そのつど、テレビと組み合わせて使いやすい製品を提供してきたことが、ユーザーに認められた要因だと捉えている。

(2)【方向性】テレビにおける地上デジタル放送や3D化といった、時代のニーズに応えながらも、スピーカーやアンプを後で買い足しできる「発展性」、そして音に対する「信頼性」という当社のスタンスは堅持していく。形状としては、スピーカーシステム型を維持し、今年は昨年よりもラインアップを一つ増やして4モデルを投入する。11年7月の地上デジタル放送完全移行の後を見据えた、長期的な視野をもって製品を提案していく。

(3)【市場の今後】サラウンドシステムを含めたオーディオ機器は、新規ユーザーが多い。具体的には30~40代の男性だ。このあたりの年齢から製品を使い始め、その後は時間をかけてステップアップしていく。このような世代の潜在的需要はあるとみている。また、家庭用ゲーム機やiPodレシーバーなど、接続できる機器が増えてきており、ユーザーはそれをテレビ周辺に置く傾向がある。こうした利用環境を考慮したうえで、使い方を提案していく必要がある。


Answer.ヤマハエレクトロニクスマーケティング

藤井陽介
企画・広報室
広報担当
プロダクトマネージャー
課長代理
(1)【地位確立の理由】2004年に「YSPシリーズ」を投入したことが起爆剤になっている。YSPシリーズについては、09年冬に試聴体験イベントを全国6か所で実施するなど、積極的に啓発活動を行ってきた。また、家電芸人がテレビ番組でYSPシリーズを紹介したことで、認知度が高まった。家電量販店では、ユーザーが音を体感できるよう、当社の展示スペースの構造を改良した。こうした総合的な取り組みが結果に結びついたと考えている。

(2)【方向性】独自技術に自信をもつ「YSPシリーズ」を核に、いくつかの形状の製品を並行して展開していく。3Dをはじめとしたテレビの技術革新によって、ユーザーのライフスタイルは変化している。そのニーズをきちんと把握していかなければ、サラウンドシステムの市場は伸びていかない。市場がある程度まで成長すると、価格帯は高価と安価の層に二極化する。当社はその両方に製品を投入していく方針だ。

(3)【市場の今後】現在は、テレビを購入する際に一緒に買いやすいラック型に人気があるが、ユーザーが購入するテレビの画面サイズは徐々に大型化していることから、今後はスピーカーシステム型も売れていくだろう。複数のタイプが、ある水準の構成比を保ちながら推移するとみている。サラウンドシステムのターゲットは、マニアから一般ユーザーにシフトしてきている。そのため、多くの方々に製品を知ってもらう努力が欠かせないと認識している。

(井上真希子が担当)
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