店頭流通

PCパーツ 路線転換迫られるPCパーツ関連企業 新たな利益確保の道を模索

2010/09/09 16:51

週刊BCN 2010年09月06日vol.1348掲載

 Windows 7の発売で息を吹き返したかにみえたPCパーツ市場だが、ここ半年ほどは、金額と数量ともに前年割れが続き、全体としては縮小傾向にある。この背景にある要因として、完成品PCの価格が下がってきていること、趣味としての自作PCにエントリー層を取り込めていない点などが挙げられる。こうした状況にあって、PCパーツを主に取り扱うメーカーや販売代理店、販売店は、エントリー層をPC自作市場に呼び込む施策を打っているほか、利益を確保するためにPCパーツ以外の新規事業を立ち上げている。

 PCパーツのディストリビュータであるシネックス(渡辺慎一社長)は、「顧客であるPCパーツ専門店などでは、代理店の選択基準が非常に厳しくなっている。かつてのように海外からモノを持ってくるだけでは、もうダメだ。代理店の存在価値が問われる時代が来ている」(渡辺社長)として、PCパーツ専門店向けに、値頃感のある3~5点の組み立てキットの提案を始めた。これによって、販売店は来店者に「このパーツさえあれば、簡単にPCを自作できますよ」と、提案しやすくなる。

 PC自作の初心者・中級者向けに同じような取り組みを独自で展開しているのは、TWOTOP秋葉原本店。同店では、自作PCの組み立てキットコーナーを今年3月に設置した。組み立てキット自体は従来から販売していたが、コーナー設置後の販売台数は、「2倍に伸びた」(鈴木浩二スタッフ)という。

 取り扱い製品を拡大する動きも顕著だ。設立以来、HDDケースを中心に販売してきたMARSHAL(三原修社長)は、「HDDケースは今後もある程度需要があるが、爆発的に市場が伸びることはないとみている」(三原社長)として、今年6月にPCパーツ全般を取り扱うブランド「新丸印」を立ち上げた。詳細な製品説明書を付け、製品のポイントを明確にして、PC自作初心者の目線に合わせたアイテムを揃えることで、「若い人や、PCの自作に興味はあるけれどまだ始めていないという人にアプローチしていく」(三原社長)。

 PCパーツに加えて、新たなジャンルの製品を取り扱うことで、利益を確保しようとする動きもある。PCパーツの代理店事業を展開しているリンクスインターナショナル(川島義之代表取締役)は、今年3月、アップル製品の周辺機器を販売する台湾メーカーOZAKIの日本総代理店となった。販売チャネルは、取り引きのあるPCパーツ専門店だけでなく、家電量販店やオモチャ店、ファッション店などに拡大している。今後は、OZAKIだけでなく、取り扱うアップル周辺機器メーカーの間口を広げ、その売り上げを「11年の早い段階で、全体の約半分にまで拡大したい」(石塚大治取締役営業部長)と意気込む。

 冒頭のシネックスも、PCパーツ以外の事業拡大を狙い、イヤホンやBDプレーヤー、スマートフォン、iPad用の保護ケースなど、需要が高いとみるコンシューマ向け家電に着目。アメリカ市場で強い米SDI Technologies社との連携を強化し、8月に、SDI「iHome」ブランドのiPod/iPhone対応スピーカー3モデルを日本市場に投入した。Apple Storeに加え、大手家電量販店の主要店での販売を本格化するなど、販売チャネルの拡大によって「年末までに月5000台の販売を目指す」(中村明CE事業部長)としている。

 市場の内側にいる企業が厳しさを実感し、新たな取り組みを始めているPCパーツ市場だが、直近の7月は、CPU、マザーボード、PCケースなどの主要パーツの売れ行きが好転。いずれも前年を上回った。これは、インテルが7月に実施した一部CPUの価格改定が、そのほかのPCパーツの需要も喚起したことや、9月に発売する人気ゲームソフト『ファイナルファンタジー XIV』のオフィシャルベンチマークソフトの配布が7月に始まった影響が大きい。『ファイナルファンタジー XIV』の推奨動作環境が高スペックのため、しばらくはパーツの買い換え需要が期待できるだろう。

 とはいえ、CPUの価格改定やゲームソフト発売の影響は一時的なもの。本質的な市場の改善は、まだ先である。PCパーツ関連企業の新たな展開を見守りたい。(武井美野里)

TWOTOP秋葉原本店の自作PCの組み立てキットコーナー
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