デジタルチューナーの売れ行きが好調だ。2009年の春を境に伸びをみせている。その後、12か月以上にわたって台数の伸び率は前年同月比で3倍、金額は2倍前後の急成長が続いている。地上デジタル放送への移行が間近に迫っていることが、その背景にはある。
デジタルチューナーには数種類がある。地上デジタル放送だけに対応する単一波タイプと、地デジのほかにBS・110度CSデジタル放送などを受信できる複数波タイプに大別される。このなかで、ワンセグを除く地デジに対応した単一波タイプの台数比率は市場全体の7割前後を占有。複数波タイプが2割前後の状況だ。
それぞれの平均単価をみると、単一波タイプは09年7月が9100円、今年7月は5200円で、1年でほぼ半値と右肩下がり。一方、複数波タイプの単価はほぼフラットで、1万6000円台で推移し、その価格差は広がりつつある。
市場が拡大するなか、メーカーのシェア争いも激しさを増している。市場の約7割を占める単一波タイプの動きをみると、7月の販売台数シェアはマスプロ電工が30.6%、バッファローが20.8%、急伸したアイ・オー・データ機器が20.7%と、3社の合計シェアは7割を超えている。激しいシェア争いは平均単価にも現れていて、この1年で3社とも単価を大きく下げた。7月は5000円を挟む激しい攻防となった。
アナログ停波まであと10か月余り。市場の拡大が進む一方で、単価を下げることでシェアアップを推し進める動きが一段と強まることになりそうだ。