デジタルトレンド“今読み先読み”

多様化進む液晶ディスプレイ ゲームなど利用シーン別に訴求

2011/01/20 16:51

週刊BCN 2011年01月17日vol.1366掲載

 「BCNランキング」では、2010年1月以降、前年割れが続いている液晶ディスプレイ市場。12月の前年同期比は、台数で86.6%、金額で79.5%だった。この理由は、PC市場でデスクトップの比率が下がっていることに加え、液晶一体型PCの数が増えており、単体のディスプレイの需要が減っているからだ。3DやIPSパネルなど、メーカーは最新技術を前面に押し出してアピールしているが、どこまで底上げできるのか。主要メーカーの戦略から今後の展望を探った。


ラインアップが豊富に 起爆剤は3D対応モデル

 2010年6月、東京・ビックカメラ有楽町店本館は、液晶ディスプレイの売り場面積を拡張した。フロアのリニューアルに合わせ、メーカー各社のモデルの増加を反映したものだ。4FPCソフトコーナーの谷口亮太スタッフは、「液晶ディスプレイは価格が下がっているので、台数では売れている」と、手応えを語る。また、LG Electronics Japan(LG)の梁盛植モニタープロダクトマネージャーは、「グローバルでは成長市場。今後2~3年は買い替えが進む」と期待する。

ビックカメラ有楽町店本館は液晶ディスプレイの売り場を拡張
 しかし、日本エイサーの入沢隆弘プロダクトマーケティング部Peripheralプロダクトマネージャーは、「デスクトップPCとの組み合わせで市場を伸ばしていくのは難しい」とみる。また、三菱電機リビング・デジタルメディア事業本部の村田光司デジタルメディア事業部モニター事業センター長は、「製品ニーズは多様化しており、すべてのユーザーが一つの製品で満足するのは難しい」と、画一的な製品訴求には限界があるとしている。

 いま、市場の起爆剤として各社が期待しているのが、3D対応モデルだ。日本エイサーは、NVIDIA 3D Visionに対応した「GD245 HQbid」を昨年3月に発売。「3Dはかなりニッチな市場」(入沢マネージャー)としながらも、「2011年は付属品がいらない3D対応モデルの発売を予定している」と、さらに攻勢に出る。また、アイ・オー・データ機器も、NVIDIA 3D Vision対応の「LCD-3D231XBR」を12月に発売した。藤橋宏幸第2開発本部第2事業戦略課副参事は、「裸眼で3D映像が視聴できるようになるまで取り組んでいく」と意気込みをみせる。三菱電機も「主力の製品にはならないが、発売はする」(村田モニター事業センター長)と、市場参入を表明している。

ゲームなど用途別提案がカギ 中・長期の伸長を見据える

 しかし、3D対応モデルはまだ出始めたばかり。ゲームや動画など対応するコンテンツは少なく、まだまだ市場での存在感は薄い。「BCNランキング」で12月の構成比をみると、販売台数0.8%、販売金額1.4%とごくわずかだ。そこで、3D以外の訴求ポイントとして各社が力を入れるのが、PC以外の機器とつなぐという用途提案だ。例えば日本エイサーは、PS3やXboxなどの家庭用ゲーム機と組み合わせて使うことを提案している。入沢マネージャーは「液晶ディスプレイはテレビのディスプレイよりも応答速度が速く、コントラスト比が高い」と技術に自信をみせる。三菱電機はゲーマー向けの上位モデル「MDT231WG」を11月に発売している。

 しかしメーカー各社にとって、ゲームに特化した製品は液晶ディスプレイ市場全体のなかの一部に過ぎない。「市場の成長には、例えばDVDの視聴やノートPCとの接続など、さまざまな用途別の提案が不可欠だ」と話すのは、ベンキュージャパンの洞口寛プロダクトマネージャー。液晶ディスプレイをリプレース製品と位置づけて、需要の掘り起こしを狙う。またLGは、「IPSパネルなど、ユーザーは高い技術を求めている」(梁マネージャー)として、PC上級者をターゲットとして明確に打ち出している。

 2011年以降の市場について、LGは「すでに試作機が登場している透明なパネルや曲がるパネルなど、中・長期的には現状の形とは異なるタイプが登場する」(梁マネージャー)とみる。また、三菱電機も「OSが変わればPCのインターフェースが変わる。マイクロソフト次第で、新しいディスプレイの形が誕生する可能性がある」(村田モニター事業センター長)として、長いスパンで市場の成長を見据える。近い将来、液晶ディスプレイに技術革新の波が訪れたときには、製品の顔ぶれやメーカー勢力図が一変しそうだ。(井上真希子)
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