PC/AV周辺機器メーカーとして確固たる地位を築いているアイ・オー・データ機器。PC/デジタル製品の年間販売台数No.1のメーカーを表彰する「BCN AWARD」では、映像をAD変換するビデオキャプチャユニットやPC用地上デジタルチューナーなどを含む映像関連ボード部門を8年連続で制している。昨年の販売動向と今年の施策を細野昭雄社長に聞いた。(取材・文/井上真希子)

2011年はホームネットワーク製品に注力
ワイヤレス環境の普及に期待

Q. 2010年の事業を振り返って、手応えはどうだったのか。

A.
 どの事業も、時期によって売り上げの変動が大きかった一年だった。例えば5月までは、文部科学省のスクール・ニューディール構想による液晶ディスプレイや、家電エコポイント制度による外付けHDDなどのAV周辺機器、NASやセキュリティ機能付きUSBメモリなどの法人向け製品が好調だった。しかし、液晶パネルやメモリなど、部材の価格が下落するというグローバルな現象の影響を受け、6月末頃から振るわなくなった。10月以降は、エコポイント制度改定の情報が流れた後でユーザーの関心がテレビに向き、再びAV周辺機器が売れた。


Q. 「BCN AWARD」映像関連ボード部門の最優秀賞を8年連続で受賞している一番の理由は。

A.
 ハードとソフトの性能を高めて、両者をうまく融合していることが、メーカーシェア1位の要因だろう。例えば、現在、PCで地上デジタル放送を見るには、マイクロソフトの視聴ソフト「Windows Media Center」がPCに入っているので、どのメーカーの地デジ対応PCでも手軽に視聴できる。しかし、それ以前は、各社のPC用テレビチューナーが個別のソフトをもち、使い勝手はその完成度に左右されていた。当社はPCとテレビの融合が始まったアナログ時代からPC用テレビチューナーを製品化しており、現在のキャプチャソフト「mAgicTV Digital」の操作性にも自信がある。このように、操作性に関係するソフトを搭載する製品については、今後も他社と差異化ができるとみている。

Q. 自作PCについて聞きたい。PCパーツ市場は縮小傾向にあるが、PC/AV周辺機器メーカーに活路はあるのか。

A.
 数は少ないかもしれないが、自作PCの需要は一定数はあるとみており、完全に需要がなくなるとは思っていない。しかし、当社の製品は自作PCのユーザーに限らず、PC上級者に向けて訴求している。ターゲットとして、とくに自作PCユーザーを意識しているということはない。

Q. 昨年の販売動向を踏まえて、2011年に注力する分野は何か。

A.
 ホームネットワークだ。スマートフォンやスレート、インターネット対応テレビの普及によって、自宅で無線LANを使って、ワイヤレスでコンテンツを楽しむ人は、これからもっと増えるだろう。具体的には、モバイルタイプの無線LANルータやNAS、スマートフォン向けのアプリケーションなどに力を入れる。もちろん、ホームネットワークの関連製品は以前からあり、当社も提供しているが、各種端末の広がりによってユーザーが利用しやすい環境が整ってきたといえる。この切り口で、2011年度の売上高は、前期比8.7%増の485億円を目指す。

・Turning Point

 アイ・オー・データ機器の創業が、人生最大の転機だった。それ以前は、バンテック・データ・サイエンス(現エヌジェーケーテクノ・システム)で、繊維関連の情報管理機器の受注製品を手がけていた。受注製品は、誰に、何を、どれだけ売るのかがはっきりしている「顧客ありき」の世界。しかし細野氏は、メーカーが自ら企画し、生産する製品を作りたいと考え、会社の設立に至った。いざ始めてみると、市場の方向性を見定めるなど、受注生産とはまったく新しい視点がいくつも要求された。この経験の積み重ねが、細野氏の大きな財産だ。