気になるアイテムを徹底分析

<気になるアイテムを徹底分析>店舗スタッフに聞く売れ筋商品――ウェアラブル端末(3)

2015/06/04 16:51

週刊BCN 2015年06月01日vol.1581掲載

 アップル製の時計型スマートデバイス「Apple Watch」のリリースをきっかけに、腕時計型ウェアラブル端末に対するコンシューマの関心が高まっており、販売を増やそうと力を注ぎ始めた家電量販店やパソコン専門店は少なくない。

 アベルネットが運営するパソコン専門店・通販サイトのPCボンバーもその一つ。昨年末からソニー製ウェアラブル端末の取り扱いを始めた。「年末商戦に向けて販売を開始したが、『これは何に使うの?』という問い合わせが多かった。しかし、今では『使い方を教えてほしい』といった具体的な質問が多くなっている」と、事業部チーフを務める井上亨・PCボンバー本店店長は説明する。

(写真左から)アベルネット 井上亨 PCボンバー本店店長、久保明夫 営業部チーフ

使えば便利と感じるのは確か。使い方を訴えていくことが大事

 ただ、販売量に関しては決して多いとはいえないようだ。同社で仕入れを担当する久保明夫・営業部チーフは、「まだまだ未知の製品ということで、実際の購入に結び付くケースは少ない」と打ち明ける。未知の製品、つまり、これから需要が増える可能性を秘めた製品というのは、業界全体で認識していることなのだろうか。「メーカーが生産を抑えているのか、商品を多く仕入れることができない」という。

 ソニーやエプソン、オムロンなど国産メーカーが発売するウェアラブル端末はリストバンド型活動量計が多く、「健康管理」を切り口に販売している家電量販店やパソコン専門店が多いなか、PCボンバーでは「現段階では、『話題の商品』と認識しておられるお客様が多いこともあって、健康管理だけでは難しい」(井上店長)と捉えている。日々の健康管理を実現できる端末だとアピールしても、「いち早く身に着けたいと意識するアーリーアダプタが購入している段階」(同)というのが実情だ。

 ウェアラブル端末の課題に関しては、他の家電量販店やパソコン専門店でも話が出ている「バッテリ駆動時間の短さ」を挙げる。井上店長は、「いつも身に着けるものなのに、頻繁に取り外さなければならないというのが一番の障壁になっている」と指摘。久保チーフは、「バッテリの駆動時間を踏まえて、新しい使い方を改めて創造することが必要になってくるのではないか」とみている。

 PCボンバーの強みは、通販サイトで他社との価格競争に勝てる基盤を整えていながら、実店舗で商品が受け取れるというビジネススタイルを業界でいち早く取り入れたことにある。顧客にとっては、実店舗でスタッフとコミュニケーションをとりながら低価格で商品を購入できるという安心感・満足感がある。いかに早く普及期に達するかが、PCボンバーのウェアラブル端末の売れ行きを左右する。「便利なのは確か。これををどう広めていくか」(井上店長)。PCボンバーでは、その答えをみつけるために実店舗と通販サイトを使ってヒット商品にするための策を模索している。

アベルネットではPCボンバーの通販サイトでウェアラブル端末をアピールしている
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