これからの時代(Era) をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「受発注バスターズ・川人寛徳代表取締役」を取材しました。
シェアハウス採用
シェアハウスを転々とする生活は、2年になる。家族でマレーシアに移住したが、「社長は日本にいたほうがいい」と言われ、単身戻ってきた。今は、都内にある約60世帯のシェアハウスで暮らす。個室はワンルームだが、共用のラウンジにはビリヤード台があり、ワーキングスペースは夜になるとシアターに変わる。サッカー・ワールドカップの日本戦の日は、早朝から人が集まり、声援を送った。
「シェアハウスに住んで、採用につながることが増えた」。履歴書では見えない人となりが、生活の中で自然と見えてくる。最初に住んだシェアハウスでは、4人を採用した。シェアハウスに住む社員を「しのび」と呼ぶ。コミュニティーの中に入り込み、人とのつながりを広げる。「人材紹介会社に頼るより、ほぼタダみたいなもの」と笑う。
新聞勧誘で磨いた勘
人の中に入り込み、相手を見る感覚は、大学時代にも磨かれた。新聞勧誘のアルバイトだった。自転車やバイクで一軒一軒回る。巨人戦のチケットを持たされることもあったが、粗品の洗剤を手に玄関先で購読を勧めた。続けるうちに、リストを見ただけで「ここは取れそうだ」と分かるようになった。調子のいい日は1日で6万円ほどを稼ぎ、成績優秀者として北海道や長野への出張に呼ばれたこともある。
「丁稚奉公」で課題発見
今の主力事業は「受発注バスターズ」。アナログな受発注業務を効率化するサービスだ。きっかけは、ある会社に自ら「丁稚奉公」したことだった。現場に入り込んで拾い上げた課題は、15個あった。そのうちの一つを事業化した。サービス名と社名をそろえたほうが認知を高められると考え、2025年4月に社名を「受発注バスターズ」に変更した。
「それ、他喜力あるの?」。社内で日常的に飛び交う言葉だ。他人を喜ばせる力。人の中に入り込み、困り事を見つける。事業づくりの原点は、そこにある。
プロフィール
川人寛徳
1979年生まれ、東京都出身。東洋大学法学部卒業。ワイキューブで採用・教育コンサルティングに従事。2013年キャリティ入社。日本ビジネスモデル協会事務局長を経て、19年batton(現・受発注バスターズ)設立。
会社紹介
受発注業務の自動化サービス「受発注バスターズ」を展開。メールやファクスで届く発注書や注文書をデータ化し、取引先ごとに異なる商品名や表記の違いを統一する。人に依存していた入力業務を効率化する。