その他
サイバーテロの脅威 対策は進んでいるか
2002/04/15 15:00
週刊BCN 2002年04月15日vol.937掲載
警察庁の取り組みは
ハイテク犯罪のなかで、大事故や人命にかかわる甚大な被害をもたらす可能性のあるサイバーテロ。ネットワークを通じ、国家や社会の基盤に重大なダメージを与えるこのテロ行為に対する脅威が、昨年あたりから急速に高まっている。幸い、日本では現在のところ事件発生の報告はないが、いつ何時、危険が訪れるかは分からない。昨年9月11日以降、IT業界のみならず、日本の全産業界がサイバーテロに対する危機感を強めている。何が起こるかわからないのである。インターネットが常に安全であるとは言い切れないのだ。警察庁情報通信局技術対策課サイバーテロ対策技術室の野本靖之課長補佐に、捜査機関におけるサイバーテロ対策の現状を聞いた。(谷古宇浩司●取材/文)
●官民の連携を強化
政府は2000年12月、情報セキュリティ対策推進会議で「重要インフラのサイバーテロ対策に係る特別行動計画」を策定。これを踏まえ01年10月、サイバーテロ対策について官民の連絡・連携体制構築を進めることを決定した。
サイバーテロ攻撃の気配を察知したり実際の被害が発生した場合を想定し、政府や重要インフラ(金融、電力など)を担う民間事業者間の連絡体制を整備。所管省庁を通じ情報を内閣官房に集約し、分析を行ったうえで、緊急対処措置を講じる仕組みになっている。
サイバーテロの脅威が生じた際、実際の捜査活動の一翼は、警察庁や各都道府県警察が担う。
警察庁では、99年に各都道府県警を技術的にリードする組織として、情報通信局に技術対策課を設置した。また、各都道府県警では捜査に必要な人員を整備し、警察間の迅速な連携を目指している。
そこで問題となるのが、各都道府県警の捜査能力がどの程度のレベルに達しているのかである。
実際、電子自治体の進捗状況を追ってみても、各都道府県を取材すると、その歩みは必ずしもスムーズとはいえない。これは捜査機関といえども例外ではないのではないか。
愛媛県警の情報管理課長としてサイバーテロ対策室に勤務した経験のある野本課長補佐は、「取り組みは地域によってレベルがバラバラで、一概には言えない」と話す。例えば、警視庁では60数人のハイテク犯罪専門チームが完全な専任体制で設置されているのに比べ、愛媛県警ではハイテク犯罪対策室はあるものの、室長は兼務で、専任要員は2人だという。事件発生時に協力する人員として数10人が控えているとはいえ、必ずしも十分な体制とは言い難い。
●警察庁では教育部門を設置
警察庁では付属機関がハイテク犯罪捜査専科などの教育部門を設置し、各都道府県警から数人の枠を設け、ハイテク犯罪に関する専門教育を施している。各都道府県警から募集する人員はコースによって違うが、基本として警部補以下という制限を設け、現場で即行動ができる人材の育成を目指す。
サイバーテロの攻撃方法とその被害状況は、ITの技術進歩に沿う形で日進月歩で進化し続けている。これまでは、東京めたりっく通信のルーターが動作不能に陥った際の攻撃、あるいはヤフーやアマゾンなどの巨大なポータルサイトに対する攻撃など情報通信部分に対するある種、愉快犯的な行為が主流だった。しかし、今後プロの手口によるテロで、重要な社会インフラが攻撃の対象とならない可能性は否定できない。そんな本物の危機を前にして、捜査機関がどこまで対応できるのか。捜査機関のスキルは常にテロの手口を上回る必要があるだけに、今後の対応が期待される。
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