熊本市のキャップドゥー・ジャパンは、クラウドツールの導入を中心としたITコンサルティングを全国で展開し、中小企業のDXを支援している。森田晃輝社長は、アプリケーションを自作できるAI時代においても「伴走支援の価値は高まる」として、顧客に寄り添う力を一層磨く考えを示す。創業10年の節目に地域貢献にも注力する。
(取材・文/春菜孝明)
モバイルアプリに需要
――会社の紹介を。
ノーコード、ローコードツールによるアプリケーション開発やSaaS導入を通じた業務改善支援事業を展開している。伴走型の支援が強みで、全国の顧客とオンラインでコミュニケーションを取り、課題の整理や、アプリの運用の改善などに対応している。
森田晃輝 代表取締役社長
SaaSの販売は継続的な収益が見込める一方、解約されるリスクもある。ただ、最初に身近な業務課題を解決するアプリを導入し、その利便性を実感すると、次は会社全体の業務基盤を整えるなど、取り組みが段階的に広がることが多い。一つの会社で提供サービスを増やす「軒単位営業」に注力している。
現在のお客様は350社ほどで、3割が関東圏、7割が関東圏以外の企業だ。50~100人規模の会社が8割を占める。当社に営業マンはいないが、平均で毎月70件の問い合わせをいただく。業務改善の手法など、中小企業の経営層の役に立つ記事をホームページに公開してきた結果だと思う。私のSNSの投稿を見て相談したいという声もある。
地場の販売代理店では業務改善に必要な製品を提案できても、導入後の改善まで継続して支援するのが難しい場合があり、販売代理店から伴走役として当社に声がかかる。件数は少ないものの大手企業もプロジェクト単位でユーザーになっている。主要なノーコードツールで実績がある安心感で選ばれているのではないか。
――顧客はどのような課題を抱えているか。
現場の担当者は業務に関する問題を理解しているが、どのツールを選べばいいのか判断に迷っている。登山に例えると、たくさんある装備の選択肢の中から選ぶようなものだ。登山プランを聞き、不安を解消する存在は非常に重要になる。ビジネスの現場でも同様に、当社が業務改善の視点で伴走する役割を担っている。
――最近の導入の傾向は。
モバイルアプリの需要が高まっている。業務システムと連携し、出先でもデータを見られるような機能だ。システムにアクセスするためにVPNを経由するとセキュリティーリスクが高くなるため、社内システムを直接操作するのではなく、データ連携ツールで安全に接続する仕組みを用いている。中小企業でもセキュリティーの意識が高まり、何も対策をしないことが大きなリスクと認識されており、こうした取り組みが求められている。
グループ会社で地域貢献
――生成AIツールによりアプリの作成は容易になっているが、どのように価値を提供していくか。
実際、自らアプリを作成するお客様が増えている。ただ、個人がつくったものを組織として運用はしづらい。社員がAIツールでアプリを自作している場合でも、経営者からは「不安なのでサポートしてほしい」と言われることが多い。「アプリをつくったので確認してほしい」「お客様に提供して大丈夫か」といった問い合わせもある。
アプリの作成業務は減るかもしれない。だが、率直に意見したり、細かな配慮をしたりと、寄り添う部分はもっと求められる時代になる。また、ノーコード・ローコードツールやSaaSを提供する会社は、伴走支援までリソースを割くのが難しくなるだろう。各サービスのメーカーと協力し合いながら価値を高めたい。
――注力していることを教えてほしい。
グループ会社としてキャップドゥーエデュケーションズを設立した。熊本に支えられて10年を迎えたことから、地域貢献を目的にしている。例えば、子どもたちが将来の選択肢を広げられるようにしようと、キッズプログラミングスクールを開催している。
企業向けにもDX人材育成研修を提供している。伴走支援とは別に、ツールの理解度を深めてもらうことを目指しており、プログラミングのほかにグループウェアやノーコードツールの活用方法などを指南する。これまでは人材確保の関係で研修事業は難しかったが、子ども向けに教えている人材からリソースを割けるようになった。
コワーキングスペースも設け、さまざまなイベントを企画するなど住民の皆さんに使ってもらっている。全国に向けてビジネスを展開する一方、地域貢献を色濃くした活動にも力を入れる。
――今後の目標は。
「トヨタ式」で知られるように業務改善は日本で発達し、世界標準となった。当社の業務改善の手法も、グローバルに広げるという夢がある。台湾やシンガポール、タイ、ベトナム、マレーシアなどの日系企業の現地法人が、日本品質を求めてユーザーになっており、展開を加速させたい。
Company Information
本社は熊本市。2016年設立。業務改善コンサルティングとしてクラウドツールの導入を手掛ける。「CapDo.クラウド」など自社開発アプリケーションも提供。