2003年に入っても、パソコンの販売が依然として厳しい状況だ。BCNランキングによると、年末年始におけるパソコンの販売実績は、デスクトップとノートともに前年割れ。東京・秋葉原電気街では、来店者数が01－02年の年末年始より多かったものの、「パソコンの販売は、以前にも増して厳しい状況だった」と話すショップが多い。だが、周辺機器のデジタルカメラやインクジェットプリンタなどは堅調な伸びをみせた。また、ショップブランドのオリジナルパソコンや組立パソコン用パーツが比較的好調な売れ行きをみせているという。今後は、消費者ニーズにあわせ、機能を絞ったパソコンが潜在需要の掘り起こしにつながると言えるだろう。

収益源はオリジナルモデル

■パソコンは台数・金額ともに苦戦

　BCNランキングによると、02年12月23－29日におけるパソコンの販売実績は、デスクトップが台数ベースで前年同週の85％、金額ベースで同90％、ノートが台数で同92％、金額で同89％となった。

　年末年始にあたる02年12月30－03年1月5日は、デスクトップが台数で同87％、金額で同91％、ノートが台数で同96％、金額で同94％という状況だった。パソコン販売は、今年に入ってからも依然として厳しい状況が続く。

　東京・秋葉原電気街でも、年末年始における販売が鈍かったショップが多かった。「パソコンを購入するために秋葉原を訪れるケースが少なくなってきたのではないだろうか」、「パソコン本体でビジネス拡大を狙うのがますます難しくなる」と嘆く。

　一方、堅調な伸びをみせたのは、デジタルカメラやインクジェットプリンタなどの周辺機器だ。BCNランキングでは、02年12月23－29日におけるデジカメの販売実績が台数ベースで前年同週の151％、金額ベースで同136％、プリンタが台数で前年同週の104％、金額で同99％となった。02年12月30日－03年1月5日に関しては、デジカメが台数で同159％、金額で同151％、プリンタが台数で同103％、金額で同101％という結果だった。

　秋葉原のショップでは、年末年始の来店者数が「01－02年の同時期の105　％」、「賑わっていた」、「減少したという印象はない」といった声が挙がる。それにも関わらず、パソコンの実売に結びつかないのは、先行き不透明の市況のなか、パソコンに関しては消費者が財布の紐をきつく縛っていることの証左かもしれない。

■好調なデジカメとプリンタ

　そんななか、最近ではオリジナルパソコンや組立パソコン用パーツの売れ行きが好調なショップが多い。

　T・ZONE.では、同社独自のオリジナルパソコンの販売に注力。「初心者層を中心に拡販していく」と、積極的に顧客を開拓していく構え。

　ラオックスでは、「オリジナルパソコンは、値頃感があるという理由で人気が高い。パソコン全体の売上高からいえばまだ微々たるものだが、今後伸びていく可能性がある」としており、「顧客がどのような用途でパソコンを購入したいのかを聞き出し、そのニーズに合わせたパソコンを提示できるというメリットももつ」と強調する。

　ソフマップでも、「牛丼パソコン」という名称で消費者の予算に応じたオリジナルパソコンを提供。上級者を中心に顧客を獲得している。

　九十九電機では、「パーツは、上級者だけでなく、中級者や初級者まで裾野が広がりつつある。需要が拡大しているのは確か」と分析する。パソコンでは、米イーマシーンズと提携しラインアップを強化。「好調に伸びている」と自信をみせる。

　オリジナルパソコンが売れ筋となっているのは、パソコンの家庭普及率向上にともない、買い替えや買い増し需要が増えることにより、用途にあったパソコンを購入する傾向が高くなっていることの表れといえる。ショップにとっても収益を生む原動力となっている。