マイクロソフトは6月、ISV(独立系ソフトウェアベンダー)向け支援の新たな「ISV・ロイヤルティ・ライセンス・プログラム(IRLP)」を開始。旧IRLPに比べ売上目標金額を大幅に引き下げるなど、より多くのISVパートナーが参加できる制度に見直した。「大幅に敷居を下げソフト流通を共同で強化する制度」と話す宗像淳・業務執行役員ビジネスパートナー営業本部本部長に聞いた。
開発から販売まで徹底サポート―宗像 淳業務執行役員インタビュー
──今年6月に開始した新IRLPは、従来と何が違うのか。
宗像 これまでは、旧IRLPに加え、もう1つのパートナー制度「プロダクト・インテグレーション・プログラム(PIP)」が並存していた。しかし、「分かりにくい」との声があり、世界的に新IRLPへ一本化した。従来に比べ、当社の最新技術とプラットフォームをより組み込みやすく「取っ付きやすい制度」に改めた。
──ISVがプログラムに参加する敷居が低くなったということか。
宗像 そうだ。旧IRLPでコミットメントしてもらう売上金額は敷居が高く、これまで大手数社に限られていた。今回、この金額を大幅に引き下げ、2年間で120万円に設定した。さらに、当社プラットフォームを組み込んだISVパートナーのソフトに対して、当社販売パートナーが密接に関わり、ソフト流通を活性化させるサイクル「パートナー・エコシステム」を回す施策を大幅に強化した。
──開発段階では、どんな点を強化したのか。
宗像 例えば、開発ツールを利用用途に応じ区分けして安価に提供できるようにした。また、ニーズに応じて当社エンジニアが直接サポートできる有償・無償のサポートメニューの数を増やすなどの体制を敷いた。今秋に登場する次世代SQLサーバーのISVパートナー向け対応検証プログラムでは、東京・調布に「マイグレーション・ラボ」を新設して、昨夏から当社エンジニアも協力して動作検証している。
──今までより、開発段階の支援を強化した理由は。
宗像 当社のプログラムに参加できず、当社へのパスがないがために、当社プラットフォームを利用して不具合が発生した場合などに、正しいパッチへ正確に誘導するパスがなかった。ソフトの品質やセキュリティ面からも、当社はもっと多くのISVパートナーと直接コミュニケーションをとる必要があると考えている。
──プラットフォームの調達方法も変わったと聞いているが。
宗像 これまでISVパートナーは、販売予測に基づき、ディストリビュータから当社プラットフォームを一括購入していた。今回の新IRLPでは、マスターディスクを提供し、売れた本数を報告ベースでチャージでき、在庫を抱える必要がなくなった。
──新IRLPは、これからも進化していくようだが。
宗像 当社パートナーを得意分野でプロファイルし、今後も加盟のISVパートナーと販売パートナーを結び付けることを盛り上げます。