IAサーバー、出荷台数は堅調

　国内IAサーバー市場が堅調な伸びをみせている。電子情報技術産業協会（JEITA、岡村正会長）がこのほど発表した05年度（06年3月期）第3四半期の出荷台数は9万8758台（前年同期比10％増）と2ケタ成長を記録した。

　この要因について、JEITAでは「事業拡大や収益向上に直結する既存システムの更新、新規システム導入に加え、情報セキュリティへの対応や高可用システムなど、企業のライフラインとなるシステムの中核として需要が増えたため」としている。UNIXサーバーを含めたオープンサーバーに関しても、台数ベースで11万3348台（同8％増）と順調な伸びとなった。

　ディストリビュータ各社も、SMB（中堅・中小企業）のシステムに対する投資意欲が活発化しており、「サーバー販売に関しては、明るい兆しが立ちこめており、06年には一段と伸びるだろう」との見方でほぼ一致している。大塚商会は、05年度（05年12月期）のサーバー販売台数が3万3477台（前年度比29・1％増）と好調だった。ダイワボウ情報システムでは、「05年度（06年3月期）は、PCサーバー5万台を必ず達成させ、その勢いを06年度につなげる」（松本紘和社長）と強気。丸紅インフォテックでも、「個人情報保護法の全面施行により、セキュリティの観点から企業がITシステムを見直す動きが強まっている。チャンスを逃さず、確実に顧客企業を獲得したい」（梅哲雄社長）との考えを示している。

　企業のITシステムに対する投資意欲が高まっていることから、「05年度のパソコン販売台数見通しは120万台（前年度は約111万台）を見込む」（ダイワボウ情報システムの松本社長）など、パソコンの販売に関しても順調な企業が多い。JEITAではパソコンの法人市場について、「リプレースを中心に大企業から中小企業まで広く実需に結びついた」とみている。

　国内サーバー市場が順調に拡大しており、06年についても見通しは明るい。しかし、気になるのは単価下落による金額の伸び悩みだ。JEITAによれば、05年度第3四半期のIAサーバー出荷金額は688億8800万円（前年同期比2％増）。UNIXサーバーを含めたオープンサーバーに関しては、1439億2400万円（同1％増）と台数に比べれば金額面の伸びが鈍化している状況だ。

　これは、サーバーに対する顧客企業の価格引き下げ要求が厳しく、SMBに対しては低価格のサーバーの方がよく売れる傾向にあるためだ。メーカー各社はマーケットシェアを伸ばそうと低価格を前面に押し出したサーバーを発売しているため、今後も台数が増えても金額が伸びないというジレンマに陥る危険性は高い。

　ディストリビュータのなかには、「パソコンやサーバーをベースに、セキュリティやサポートサービス、ミドルウェアのライセンスなど重点カテゴリーを決めて提供していく」（ダイワボウ情報システムの松本社長）方針を掲げているケースや、「パソコンを単に販売しているだけでは伸びは期待できない。その製品の機能を理解し、その機能に合ったソリューションを提案していくことが重要になる」（東芝情報機器の小川暢久社長）など、利益重視を推し進める動きも出てきている。

　粗利率が低い製品に関しては、「仕入れた製品をそのまま卸す」というビジネスでは利益確保が難しい。「顧客ニーズに合った新しいソリューションを提供する」体制をいかに整えられるかかが、サーバーやパソコンなどのハードウェアビジネスで利益を伸ばすカギといえる。 佐相彰彦●取材／文