その他
MS、次の10年を見据えた足場固め
2006/07/24 14:53
週刊BCN 2006年07月24日vol.1147掲載
国内エンジニアの満足度高める
マイクロソフト(ダレン・ヒューストン社長)は、次の10年を見据えた足場固めを始めた。ITプロフェッショナル(ITプロ)や開発者の満足度を高める活動に力を入れ、今後大きく変わっていくウインドウズプラットフォームの受け入れを促していく。業界のエンジニア系キーマンに自社の新しい戦略を理解してもらうことで、ウインドウズプラットフォームの世代交代を円滑に進めるのが狙いだ。
今年末から来年にかけて、ERPのダイナミクスシリーズや新しいオフィスシリーズ、クライアントOSのビスタの投入を予定。さらにビスタと密接な連携を図る次世代ウインドウズサーバー“ロングホーン”や・NETフレームワーク3・0など、資本力を武器に過去に例がないほど多数の製品を開発中だ。
こうした製品群に内包されるソフトウェアのサービス化や仮想化技術の本格的な採用、自社製ERP投入による影響などは、既存のパッケージソフトビジネスのあり方の変化を示唆するメッセージとも受け取られている。ヒューストン社長は、「ブロードバンドを活用したリッチクライアント環境を推し進めることで当社はさらに強い企業になる」と、ソフトウェアのサービス化、仮想化が今後のキーワードだと指摘する。
一方、ウインドウズプラットフォーム上でビジネスを展開してきたITベンダーは、「マイクロソフトの変化に即した迅速な対応が求められている」(ソフト開発ベンダー幹部)と受けとめる。中小のソフト開発ベンダーのなかには、自前で揃えてきた財務会計や人事給与ソフトの開発を中断し、ダイナミクスの上で動作するアドオン方式で新たに作り直すことを検討する動きも出てきているほどだ。
マイクロソフトは、「ダイナミクスは半製品であり、機能を追加することが可能」と位置づけており、いわば広義のウインドウズプラットフォームに対応した新たな業務アプリケーションの開発が迫られる可能性もある。
こうしたなか、マイクロソフトは自らのエバンジェリストや講師をビジネスパートナーやコミュニティなどに派遣する“出張技術講習会”を開催したり、従来の開発者向けコミュニティ支援団体とは別に、ITプロ向けのコミュニティ支援団体の新設を予定するなど、エンジニアの満足度を高める活動を本格化させている。
背景には、日本国内のITプロや開発者の満足度が北米に比べて低いことが挙げられる。満足度200点満点のうち北米は130─140点、国内は100点余りに過ぎないとマイクロソフトでは見ている。
他社に比べて圧倒的多数のエンジニアを抱えていることがウインドウズプラットフォームの最大の強みであるとするならば、今後10年、ソフトウェアのアーキテクチャを革新する製品群を投入していくマイクロソフトにとって、エンジニアからの支持の弱まりは自社の強みを減退させることにも結びつきかねない。今ここでエンジニア層の支持を取りつけ、自らの足場固めを確実に行う構えである。
痛みを伴う革新である可能性が高いだけに“マイクロソフト離れ”だけは何としても避けたいところだ。 安藤章司●取材/文
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